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「ジョブ・ハンティング」と「ジョブ・クリエイト」
■地方企業は「メンバーシップ型雇用」が主流
雇用システムは、まず大きく分けて「ジョブ型雇用」と「メンバーシップ型雇用」があります。ジョブ型雇用とは、職務内容を記載した「ジョブディスクリプション」が先にあり、そこに当てはまる人を採用するやり方です。
例えば、ある会社で営業部長のポストが空いたとすると、営業畑を歩んできた人で管理業務もできる人材を募集します。
基本的に定められた職務以外の仕事や配置転換はないので、その道のスペシャリストになっていきます。ジョブ型雇用はもともと欧米を中心としてグローバルに行われてきたもので、日本では外資系企業やコンサルティング会社、IT企業などが取り入れています。
これに対してメンバーシップ型雇用は、まず採用したい人材が先にいて、その人に合う仕事や役職を当てはめていくやり方になります。人物を重視して雇用をし、部署異動や転勤などを繰り返しながら、会社からの長期観察を前提にキャリアアップをしていきます。さまざまな仕事を経験することで、幅広い知識や経験をもつジェネラリストになっていきます。
最近でこそ大都市ではジョブ型雇用の企業も増えてきましたが、もともと日本企業はメンバーシップ型雇用で、今でも新卒採用はメンバーシップ型雇用で行われています。
地方企業もほとんどがメンバーシップ型雇用です。
中小企業の社長が「良い人がいたら紹介して」と言うのは、メンバーシップ型雇用の典型例です。そもそも地方の中小企業では、管理職や専門分野のエキスパートといったポストに当てはまる人を雇用したくてもピッタリの人材が集まりにくいのです。そのため、ポストにとらわれず能力の高い人を採用して、その人ができる仕事を割り振っていくことでいろいろな経験をさせて適性を広げていくという人材育成が行われています。
■Uターン人材の獲得を狙う地元企業の採用パターンとは
メンバーシップ型雇用が多い地元企業において、Uターン人材の採用には「ジョブ・ハンティング」と「ジョブ・クリエイト」の2パターンがあります。
定期的にエージェントがクライアント企業を回って、経営者や人事担当者から今後の事業展開の計画や欲しい人材のイメージなどを情報収集します。そうして表には出ない求人のストックを集めておきます。
Uターン転職をしたいという求職者が現れたら、その人がどの会社に合いそうか、希望条件やキャリア、人柄などを見てストックのなかからマッチングをします。