「経済成長しなければ国が滅ぶ」という危機感
そういう個々の単位での考察は必要ですが、経済全体、つまりマクロ経済が整っていない、もしくはどんどん小さくなっている場合、恵まれない家庭はますます追いこまれます。そうなっていると、個人、個人がどんなに努力をしても、ほとんど報われない。
業績によってばらつきがあったり、個人差があったり……勿論ミクロの次元ではあります。ただ、やはり非常に重要なのは、全体の条件、つまり万人平等の条件をマクロが決めてしまうということです。マクロが整っていない状況では、ミクロの条件が不利な人は出発点から困難な状況に置かれてしまう。
「それでも這い上がろうと、一生懸命頑張るからいいじゃないか」という考え方もありますが、しかし、全体の統計を取ってみると、明らかに恵まれない層が追いこまれている傾向が出てきます。経済というのはそういうものです。
だから私は「経済のパイが絶えず大きくなっていかないと、国家の未来がない」と言いつづけているのです。というのも国家は国民が支えるものだからです。とにかく経済を成長させないと国力は衰退します。このままでは日本は中国の属国、支配下に本当に飲み込まれる。若い人には希望がなく、少子化はますます進む。高齢者も養えなくなる。
でも日本には、政治家にも経営者にも、そして国民にも「経済が成長しないと国力がなくなり、滅亡するのだ」という危機感がありません。「経済を成長させることが何よりも大事だ」という感覚は国家としての本能であり、政治家として本能だと思うのです。その本能を取り戻さないといけません。
田村 秀男
産経新聞特別記者、集委員兼論説委員
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