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部下をよく観察するところから始める
あなたには想像しがたいかもしれませんが、世の中には仕事はあくまでも生活のための手段であり、やりがいを求めていないという人も一定数います。
にもかかわらず、そんな人いるはずがない、そんな考え方は甘い、などと部下の考えを蔑ろにしている上司もいるのです。
会社員である以上、仕事で成果を上げることは当然の責務です。モチベーションが高ければ、目標以上の貢献ができることもあるでしょう。
しかし、自分の仕事をきちんとこなしている人に、それ以上の貢献を強要するのはパワハラ以外の何ものでもありません。
まずは、あなたが望んでいることを部下が望んでいるわけではないことを知りましょう。部下が求めているものを知り、現実を受け止めることがスタートです。
この「部下が求めていること」を理解する上で役に立つのがアブラハム・マズローが提唱した「マズローの欲求5段階説」という心理学説です。
マズローは、人間の欲求を生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求という5段階のピラミッド構造で示し、人間には、一番下の生理的欲求から順にこれらの欲求を満たそうとする性質があると説きました。
誰しもこの5つの欲求を持っているといっても、職場においてどの欲求を重視しているかは人それぞれ。部下がどの欲求を重視しているのかを知れば、接し方も変わってくるはずです。
たとえば「生理的欲求」というのは、食欲や睡眠欲のことです。
生理的欲求は生きていく上で当然の欲求なのですが、残業が多いとこれが脅かされる場合もありますよね。
人によって程度の差があるとはいえ、この欲求を重視している人にとって、これは何よりもつらいこと。あなたがいくら残業していたとしても、生理的欲求を脅かすようなことを強制してはいけません。
2段目の安全の欲求は、心身ともに危害を加えられない安心安全の環境にいたいという欲求です。ここを重視している人には、強い叱責や無理な目標を強いられることは深刻な脅威に感じられます。
3段目の社会的欲求は、ひと言で言うと、コミュニティーに所属していたい、そのコミュニティーで必要とされている満足感を得たいという欲求です。
職場以外のコミュニティーがある人や、趣味のほうが大切だと思っている人は、職場でこの欲求が満たされなくても大きな問題とは捉えません。