【関連記事】「仕事の悩みの8割は人間関係」は本当か?【産業医の解説】
部下は本音を話してくれないという悩み
いきなり話し合うのが難しい人は、部下をよく観察するところから始めるのもいいでしょう。
一旦関係がこじれてしまうと、修復するのは至難の業。どれだけ褒めても怒っても、全く相手に響かない状況になってしまいます。「めんどくさい部下だ」と決めつける前に、もう1度よく見て、耳を傾けてみてください。
■部下の本音を引き出す聞き方
このようにお伝えすると、「話を聞こうとしても、部下が本音を話してくれない」「部下が何を考えているのか、さっぱり分からない」という方がいらっしゃいます。
毎日接する相手の本心が分からないというのは、もやもやしますよね。
しかし、ここで1つお伝えしておきたいのは、上司と部下という関係に限らず、そもそも小手先のテクニックで本音を聞き出すことはできないということです。
あなた自身もそうだと思いますが、知り合ったばかりの人や、この人とは距離をおきたいと思っている人に、思いを打ち明けることができるでしょうか。
相手との信頼関係がなければ、あれこれ探ってみたところで本音を聞き出すことはできないのです。
そうはいっても、仕事を円滑に進めるためには、部下とのコミュニケーションは不可欠ですよね。そこで、私がよくご相談を受ける2つの状況での対処法をお伝えしようと思います。
▶①部下がミスをした時
部下がミスをして指導している時に、部下が黙り込んでしまったり、口先だけで謝っているなと感じたことはないでしょうか。
失敗を糧に成長すると頭では分かっていても、自分の指導に対する反応がイマイチだと、ついつい「分かったのか?」と詰め寄ってしまうことも。
あなたとしては、部下が理解できたのか、自分の話が伝わったか知りたいだけだとしても、責められているように感じる部下もいるでしょう。
このような場合、管理職向けのマニュアルでは、「なぜ、そんなミスをしたと思うか?」とWhyで聞くのではなく、「どうすればよかったと思うか?」とHowで聞く、とされています。
ところが、聞かれた部下にしてみると、どうすればよいか分かっていたらすでに何かしらの考えなどを述べているでしょう。そのように聞かれてすぐに答えられないのは、「どうすればいいか」も分かっていない状態なのです。
このような場合は、「部下の気持ちを聞いてみる」のがおすすめです。
ひと通り事実関係を確認したら、指導に入る前に、
「今、どのような気持ちですか」
「まず、今の気持ちを聞かせてください」
と切り出して、部下の気持ちに耳を傾けてみましょう。
頭ごなしに叱責したり、正論を押しつけるだけでは、部下は自分を守ろうとしてあなたの話が耳に入らなくなってしまいます。
心理的安全性が保たれていることが分かれば、部下も指導を前向きに受け止めることができるでしょう。
まずはあなたが精神的余裕を持って接してみてください。