(※写真はイメージです/PIXTA)

経営計画を作成し、それを実際に推進していく中で、なかなか成果が出ずに停滞してしまうケースがあります。経営計画を「自分ごと」として取り組んでもらうにはどうすればいいのでしょうか。経営計画の作成・推進支援のコンサルティング経験が豊富な中小企業診断士が著書『経営計画100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で、解説します。

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社員面接で「経営計画」を浸透させる

■経営者の思いを直接社員に伝える

 

経営計画を作成し、それを実際に推進していく中で、なかなか成果が出ずに停滞してしまうケースがあります。そのような事態に陥っているときは、経営計画にかける経営者の思いが、社員に十分に伝わっていないことが多いようです。

 

もちろん、経営計画ができた段階で、経営計画発表会の場で全社員に周知しますが、発表会というのは、どうしても一方的なものになりがちです。経営計画にたずさわる幹部社員は、経営ビジョンや経営目標の中味を理解していますが、それ以外の社員は、それぞれの上長から伝えてもらうことになります。

 

こうなると伝言ゲームのようなもので、経営者の真意が全社員に問題なく伝わるとは限りません。

 

そこで経営者の方には、社員面接をお勧めします。社員面接を行い、経営ビジョンや経営目標などを経営者からダイレクトに説明することで、社員にその内容をしっかり理解してもらえます。そうすることで、経営計画をしっかり浸透させ、成果に結びつけていくことができるでしょう。

 

また、経営計画で掲げたことがどこまで進んでいるのか、社員全員について検証することができます。社員1人ひとりがどんな状態か、健康面や家庭面も把握できます。社員が何か問題を抱えていた場合、支援することも可能です。経営者と社員は、ふだんなかなか直接話す機会がありません。こうした場で直接話をすれば、コミュニケーションを深めることができて、お互いへの理解と信頼が深まります。

 

社員面接は原則として年2回、ひとり1時間程度実施します。

 

社員のスケジュールを調整し、1か月の間に集中して全員面接するのがよいでしょう。 面接は原則として社長が実施しますが、組織が大きい場合には、社長以外の役員も社長に代わって社員面接を実施します。

 

賞与支給がある企業の場合は、支給前に社員面接を組み込むことで、人事考課としても利用することができます。社員は、ふだんはあまり経営者と話すことがないため、面接のときは緊張しているでしょう。まずは、日ごろの仕事に対してねぎらいの言葉をかけます。

 

次に、何のために面接するのかを言います。面接の目的は、おもに次の3つです。

 

①経営計画の内容を理解しているかの確認
②経営計画の進捗度合いの確認
③社員とのコミュニケーション

 

ワンポイント
社員面接は、経営陣と社員との相互理解の場となる。
具体的行動
ポイントは、①押しつけない、②話を聞く、③雰囲気作り、④否定しない、の4点です。

 

仕事の一環として経営計画を定着させる

■知恵をしぼって定着化

 

経営計画は仕事の一環として継続して実施していくものですので、規定として制定することが望ましいでしょう。規定化すれば、経営計画が制度として定着し、つねに一定の手順に従って進めることができます。

 

ほかにも、経営計画を会社に定着させる方法はあります。たとえば、経営計画の定期監査を実施するのです。また、賞与査定の人事考課表に、経営計画の成果の項目を入れるのも手です。

 

目標管理制度を導入している場合には、目標の1つに経営計画にもとづくものを入れることもできます。 経営計画の実施は、長い期間におよぶプロジェクトです。最初は全員が高い意識をもっていたとしても、それをキープするのはなかなか難しいことです。

 

だからこそ、経営計画をみんなの意識の中に定着させるため、アイデアを探す必要がありますが、いろいろ知恵をしぼるのも、楽しいことだと思われませんか? 素晴らしいアイデアが湧いたとき、それは経営計画の定着に役立つだけでなく、思いもかけなかったメリットを、あなたの会社にもたらすかもしれません。

 

▲経営計画の定期監査チェックリストの例。

 

宮内 健次

中小企業診断士 社会保険労務士

 

 

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※本連載は、宮内健次氏の著書『経営計画100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋、再編集したものです。

A4一枚で作る PDCAを回せる 経営計画100の法則

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宮内 健次

日本能率協会マネジメントセンター

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