「ピザじゃない、ピッツァだ!」手書きPOPで売り上げ4倍に 飯田屋独特のPOPには、商品への思いが込められています。

料理道具専門店の飯田屋では一枚一枚の手書きのPOPは第二の店員で、圧倒的な存在感で、結果を出し続けるという。それはなぜ可能なのでしょうか。飯田屋6代目店主が著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)で明かします。

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規模の大きさよりも笑顔の濃さ

店に立ってお客様と話をすることは大切です。というか、それ以上に大切なことはありません。

 

売上が伸びてくると社長が店に立たなくなるという話を聞くことがあります。これは最悪。どれだけ売上が上がっても、その店で生まれるお客様の満足が増えていくことはないでしょう。

 

店にいると、これまで見えていなかったお客様の満足を生む種が、次から次へと見つかります。そのたびに、「まだこんなニーズがあったのか!」と嬉しくなるのです。

 

同じ1000円のおろし金でも、無言でお買い上げいただくのと、心から満足して笑顔でお買い上げいただくのでは、僕たちにとっての喜びはまったく違います。たくさんあるおろし金の中から厳選して「あなたが探し求めていたおろし金はこれですよ!」と自信を持っておすすめし、お客様には「私にぴったりのおろし金はこれだった!」と最高の満足を得てほしいと思います。

 

飯田屋は小さな店です。もし売場面積を広げれば、売上を上げられるかもしれません。もし店舗数を増やせば、売上を倍に伸ばせるかもしれません。

 

しかし、そんなことをすれば、僕たちの目指す商売からは大きく離れていってしまいます。人の教育が追いつかず、マニュアルに頼りはじめるかもしれません。固定費が増えた分、さらに売上を追求しようと、売りやすい商品だけを並べたりするでしょう。

 

それは、飯田屋が目指す商いではありません。

 

店舗運営には、より多くの売上を追求する道と、より多くの満足を求める道があります。飯田屋が進むのは後者、つまり多くのお客様の満足を自分たちの知識と料理道具で極めていく道です。規模を大きくすることでお客様の満足が薄くなってしまうのであれば、小さくともお客様の濃い満足を追求する道を選びます。

 

本当にありがたいことに、さまざまな商業施設から出店のお誘いを毎月のようにいただいております。しかし、僕たちは多店舗展開にまったく興味がありません。

 

この土地で、もっと笑顔になってくれる人を増やしたいのです。ご来店くださったお客様の心をもっと満たしたいのです。

 

僕自身も、経営者でありながらプレーヤーとして働きたいという思いが強いこともあります。直接、お客様とお話しするのが大好きなのです。店数や客数を拡大するよりも、お客様の笑顔の質と量を高めたいのです。

 

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株式会社飯田代表取締役社長

大正元年(1912年)に東京・かっぱ橋で創業の老舗料理道具専門店「飯田屋」6代目。料理道具をこよなく愛する料理道具の申し子。TBS「マツコの知らない世界」やNHK「あさイチ」、日本テレビ「ヒルナンデス!」など多数のメディアで道具を伝える料理道具の伝道師としても活躍。自身が仕入れを行う道具は必ず前もって使ってみるという絶対的なポリシーを持ち、日々世界中の料理人を喜ばせるために活動している。監修書に『人生が変わる料理道具』(枻出版社)。2018年、東京商工会議所「第16回 勇気ある経営大賞」優秀賞受賞。

著者紹介

連載浅草かっぱ橋商店街で営業方針は「売るな」で大繁盛

※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

飯田 結太

プレジデント社

効率度外視の「売らない」経営が廃業寸前の老舗を人気店に変えた。 ノルマなし。売上目標なし。営業方針はまさかの「売るな」──型破りの経営で店舗の売上は急拡大、ECサイトもアマゾンをしのぐ販売数を達成。 廃業の危機に…

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