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一生の教訓として腹落ちさした経験
■痛いの、痛いの、ありがとう
「痛いの、痛いの、飛んでいけぇ」
幼稚園へ通う娘が、おぼえたての言葉を口にします。
痛みは大人も苦手です。早くどこか遠くへ飛んでいってほしいものです。
しかし、痛みの原因を知ることは大切な学びです。何度も転び、泣くほど痛い経験をしたからこそ、子どもは同じ道で転ばなくなるのです。
これまで、たくさんの従業員が飯田屋を辞めていきました。そのたびに「飯田屋の経営方針についてこられないほうが悪い」「根性がない」と相手に責任を押しつけ、本当の痛みの原因から目をそらしてきました。
安売り競争で惨敗したときも、「お金がなくて大量仕入れができないから」「あのメーカーが仕入れ値を下げてくれないのは、飯田屋のもともとの評判が悪いから」と、本当の痛みの原因から逃げてきました。
苦しいことに出合うたびに、痛みの原因から逃れようと僕は言い訳をしてきました。うまくいかないたびに、今すぐその場から逃げ出してしまいたいと思っていました。
なぜなら、会社を率いる経営者たる者、弱みを見せたら負けだと思い込んでいたからです。どうしても、自分の弱みを認められませんでした。
さまざまな痛みを感じてきましたが、その中でもっとも大きな痛みがあります。
それは、母をひどく傷つけてきたという後悔から来る痛みでした。思い出すだけでも、あまりにも愚かで隠したくなるような最低の過去です。
どんな時代も、母はとことん目の前のお客様を大切にしてきました。それを効率が悪いと否定し、「これからの時代は効率的にお客様をさばいていかなければ、売上は上がらない」と、さもわかったかのように傍若無人に振る舞ったのです。
母はどんなに不景気でも、会社の状況が厳しくても、目の前のこと一つひとつを大切にしてきました。そんな姿にも気づかず、うまくいかない原因をすべて押しつけたのです。
「やり方が古いんだ! だからうまくいかないんだよ!」
母に何度つらく当たってしまったことでしょうか。廃業したほうが楽だと思えるような状況でも、「苦しい」と一言も口に出さず、絶対に逃げなかった人なのに……。
今の飯田屋があるのは、間違いなく母のおかげです。ずっと飯田屋の代表として、長い間痛みに耐えてきたのは母なのです。
僕はそれに気づけず、目を向けようとしませんでした。本当に頑張っている人に向かって「結果がすべてでしょ?」と、傷つけることがわかっていながら何度言ってしまったことでしょうか。
どれだけ、母は痛かったでしょう。どれだけ僕は母を傷つけてきたのでしょうか。僕は最低の人間です。ずっと母に謝ることもできませんでした。
やっと最近、「僕が間違っていた」と母に伝えることができました。「痛かった」「つらかった」と言われると覚悟していました。
でも、母は「やっと気づいたね」と言って笑ってくれました。
「痛いの、痛いの、絶対に飛んでいくな。この痛みを死ぬまで忘れさせてくれるな」
そのとき、僕はこう決意しました。
痛い経験は感謝の対象でした。目も当てられないような、恥ずかしくて忘れ去りたいような過去ほど多くを学ばせてくれ、一生の教訓として腹落ちさせてくれたのです。
「痛いの、痛いの、ありがとう」
痛みと向き合い、受け止め、感謝の心が芽生えたときに、やっと痛みを感謝へと昇華させられたように思います。感謝に変わった痛みは、決して忘れることはありません。
ふたをして隠してしまいたい過去ほど、感謝すべき価値があります。なぜなら、認めたくないような恥ずかしい経験こそが、今の僕を育ててくれたからです。
あのころの自分を思い出すたびに、恥ずかしさでいっぱいになります。でも、決して忘れてはならない経験です。僕は、痛い経験がなければ本当に大切にすべきものに気づけませんでした。
そのおかげで飯田屋は、従業員を、お客様を、協力会社の皆さんを、地域の方々を、喜ばせる「喜ばせ業」であるとはっきりと目標を掲げることができたのです。
だから、僕は痛みから逃げることをやめました。
飯田 結太
飯田屋 6代目店主
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