(※写真はイメージです/PIXTA)

「わかっているようでいて、なかなかわからない」のが自分自身です。特に、リーダーは自分の価値観や判断よりも、会社やチームの利益、ニーズ、判断などを優先せざるを得ないこともあります。どうすれば自分を深く知ることができるのでしょうか。エグゼクティブコーチの大平信孝氏が著書『部下は動かすな。』(すばる舎)で解説します。

自分を甘やかさずに対応できるのか

一方で、自分を責める傾向のある人は、「ほら、やっぱり今日も起きられないじゃん。昨日の夜更かしがいけないんだよ」と自分を責めて嫌な気分になりながら、布団の中で悶々とした時間をすごします。

 

自分を責めることは、自分のネガティブな部分や、根本の問題に向き合うのを避けているのです。

 

では、どうしたら「心の声や体の声」に耳を傾けつつ、自分を甘やかさずに対応できるのでしょうか。

 

これも正解はありませんが、コーチング的な対処法は、自分の内側と対話すること。

 

たとえば、次のような対話をすることもひとつです。

 

「そうか、今朝は眠いし、疲れているんだね。それで、今朝はどうしたい?」

 

「今起きたほうがいい仕事ができるのか? あと1時間睡眠をとったほうがいい仕事ができるのか? どうしたい?」

 

このように自分と対話をします。

 

出てくる答えは、日によって異なるでしょう。早起きして眠いとしても、目的がはっきりしているので動くことができます。また、仮に二度寝したとしても罪悪感を感じません。どちらを選択するにしても、自分と対話して決めたことなのでスムーズです。これは、早起きの場面に限りません。

 

たとえば、仕事で思い通りにいかないことがあったとしましょう。

 

そういうとき、どんなふうに自分に接していますか?

 

「部下がダメだから、こうなったんだ!」
「何をしても、結局自分はうまくいかないよね」

 

と対応をしているなら、「他者否定や人のせい」または「自己否定、自己叱責」していることになります。あるいは、

 

「運が悪かっただけだから気にしない気にしない」
「こういうときは、お酒でも飲んでパーっといこう」

 

といった対応をしているとしたら、自分を甘やかしていることになります。

 

どちらの対応をするにしても、うまくいかないことに直面すると足が止まってしまい、その後、すぐに行動できるようにはなりません。

 

では、どう対応したらいいのでしょうか?

 

もちろん、唯一絶対の正解などはありませんが、

 

「そうか、思い通りにいかなかったか。それは辛いね。で、本当はどうしたかったの? そうか、そうしたかったのね。じゃあ、今からできることを10秒でいいからやってみようよ」

 

といった対応をしてみましょう。

 

こうして「3つの声」を通して「自分を深く知る」ことができた人は、「自分や他人を責める」わけでもなく、かといって「甘やかす」わけでもなく、うまくいかなかったことからも学びを得て、次の一歩を踏み出すことができるのです。

 

大平信孝
株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役

 

 

 

※本連載は、大平信孝氏の書籍『部下は動かすな。』(すばる舎)から一部を抜粋し、再編集したものです。

部下は動かすな。

部下は動かすな。

大平 信孝

すばる舎

「部下が動いてくれない」「部下が一向に成長しない」「怒っても褒めてもうまくいかない」「チームが全然まとまらない」「リーダーとしての自信がない」… このような悩みを抱えるリーダーのあなたは、なんとかして部下・チ…

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