自分を甘やかさずに対応できるのか
一方で、自分を責める傾向のある人は、「ほら、やっぱり今日も起きられないじゃん。昨日の夜更かしがいけないんだよ」と自分を責めて嫌な気分になりながら、布団の中で悶々とした時間をすごします。
自分を責めることは、自分のネガティブな部分や、根本の問題に向き合うのを避けているのです。
では、どうしたら「心の声や体の声」に耳を傾けつつ、自分を甘やかさずに対応できるのでしょうか。
これも正解はありませんが、コーチング的な対処法は、自分の内側と対話すること。
たとえば、次のような対話をすることもひとつです。
「そうか、今朝は眠いし、疲れているんだね。それで、今朝はどうしたい?」
「今起きたほうがいい仕事ができるのか? あと1時間睡眠をとったほうがいい仕事ができるのか? どうしたい?」
このように自分と対話をします。
出てくる答えは、日によって異なるでしょう。早起きして眠いとしても、目的がはっきりしているので動くことができます。また、仮に二度寝したとしても罪悪感を感じません。どちらを選択するにしても、自分と対話して決めたことなのでスムーズです。これは、早起きの場面に限りません。
たとえば、仕事で思い通りにいかないことがあったとしましょう。
そういうとき、どんなふうに自分に接していますか?
「部下がダメだから、こうなったんだ!」
「何をしても、結局自分はうまくいかないよね」
と対応をしているなら、「他者否定や人のせい」または「自己否定、自己叱責」していることになります。あるいは、
「運が悪かっただけだから気にしない気にしない」
「こういうときは、お酒でも飲んでパーっといこう」
といった対応をしているとしたら、自分を甘やかしていることになります。
どちらの対応をするにしても、うまくいかないことに直面すると足が止まってしまい、その後、すぐに行動できるようにはなりません。
では、どう対応したらいいのでしょうか?
もちろん、唯一絶対の正解などはありませんが、
「そうか、思い通りにいかなかったか。それは辛いね。で、本当はどうしたかったの? そうか、そうしたかったのね。じゃあ、今からできることを10秒でいいからやってみようよ」
といった対応をしてみましょう。
こうして「3つの声」を通して「自分を深く知る」ことができた人は、「自分や他人を責める」わけでもなく、かといって「甘やかす」わけでもなく、うまくいかなかったことからも学びを得て、次の一歩を踏み出すことができるのです。
大平信孝
株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役