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自ら勝手に動き出す部下やチームが強い
「部下は動かすな」
このタイトルを見て、どう思われたでしょうか。
「部下を動かすのが上司、リーダーの仕事なのでは?」
「部下が主体的に動かないから、指示命令して動かさざるを得ないんだけど……」
このように思われた方もいるかもしれません。
この本は、何もただの逆張りをしたかったわけではありません。
私はこれまで1万5000人のリーダーやビジネスパーソン、会社組織に対して研修やコーチングを行ってきました。一人ひとりから話を聞き、悩みや思いに寄り添い伴走してきました。
十数年にわたりこの仕事をし続けてきた私のひとつの結論が、「部下は無理やり動かしてはいけない」というものです。
あなたがリーダーであれば、次のような悩みを抱えているのではないでしょうか。
・自分の指示や思いが伝わらない
・部下が何を考えているかわからない
・「受け身の姿勢」や「主体性のなさ」にイライラする
・自分で考えずに、すぐに答えを聞いてくる
・部下同士の仲が悪く、チームとしてまとまりがない
・自身のリーダーシップに自信が持てない
・性格的にリーダーに向いていない気がする
・プレイヤーとしての仕事に忙殺されて、リーダーの仕事が後回しになっている
そんな悩みを抱えているリーダーに、この連載を読んでいただきたい。
■部下が動いてくれる人、動いてくれない人
「なぜ部下を動かしてはいけないのか」については詳しくお伝えしますが、端的にいえば、「部下を動かそう」「チームを変えよう」とすればするほど、うまくいかなくなるケースが多いからです。
・ビジネス書で書かれているマネジメントのやり方を真似する
・できていないこと、改善すべきところを見つけて指摘する
・叱咤激励をしてモチベーションを高める
・より具体的に指示命令をする
これらは一見、部下を動かすいい方法に思えるかもしれません。実際、動かない部下やモチベーションの上がらない部下、まとまらないチームを指揮している方であれば、取り入れたことがあるのではないでしょうか。
しかしこれらは一時的な改善はできても、本質的には変わりません。そして何より、部下が育ち、チームが強くなることはなく、同じ状況が続くことになってしまいます。
なぜなら、「会社や上司が言ったから動く」ではチームは強くならないからです。そうではなく、自ら勝手に動き出す部下、チームが一番強いのです。
「部下を動かす方法」を色々考え実行したところでうまくいかないのは、実のところ、一番大事な「ある視点」が欠けているからです。
それは 「あなたは誰か?」 という視点です。
「何をするかではない、誰とやるかだ」というフレーズを耳にしたことがありますか。
確かに、仕事でもプライベートなことでも「何を」「どのようにやるか」も大切です。でも、決定的な違いが出るのは「誰とやるか」です。
ただこの言葉は、誰とやるのかを「自分が選ぶ」という前提に立っています。