「本当はどうしたいか」を続けざまに質問する
■「心の声」を聞くためのヒント
次に、「心の声」を聞くコツをお伝えします。
過去の失敗や現状の忙しさなどはまず脇に置いて、「本当はどうしたいのか」を問いかけ、理想の未来をイメージするのです。
このとき、「続けざまに質問する」のがポイントです。
たとえば、
「部下の育成もしなければいけないし、成果も出さないといけない。この先うまくやっていけるのか不安だけれど、頑張らないといけない」
という「頭の声」が聞こえてきたとします。
そこで止まらずに、「本当はどうしたい?」と体の声や心の声を聞いてみるのです。
「最近、睡眠不足で体がしんどいから、ゆっくり休みたい。肩こりがひどいから、なんとかしたい」という「体の声」が聞こえてくるかもしれません。
そこで、さらに「本当はどうしたい?」と問いかけます。すると、「温泉にゆっくり浸かって、リフレッシュしたい」「薪ストーブのあるゆったりとした暮らしがしたい」「趣味の陶芸に没頭したい」といった心の声が聞こえてきます。
「本当はどうしたい?」と、自分に問いかけても、はじめのうちははっきりした答えが出てこないかもしれません。そんなときは、まずは今夜食べたいものからでいいので「本当はどうしたい?」と自分自身に聞いてみてください。
「心の声」を聞けるようになると、自分の本当の欲望を理解できるようになります。すると、「自分が、どんなことを大事にしているのか」「会社でどんなことを成し遂げたいのか」「自分が大切にしている価値観」「今どんな夢や目標を描いているのか」といったことが、徐々にわかるようになります。
すぐに答えが出なくても焦らないでください。
「本当はどうしたい?」という問いを頭の片隅に置き続けることで、「心の声」に気づきやすくなっていきます。結果的に、「自分を深く知る」ことができるようになっていくのです。
■「自分の声を聞く」ことは、自分を甘やかすことではない
「心の声や体の声を聞く」ことと、「自分を甘やかす」ことを混同される方がいるので、両者の区別を解説します。
たとえば、あなたは朝5時起きを習慣化したいとします。
朝5時に目覚ましが鳴りました。でも、あなたは眠いし体も疲れている。
そこで、自分に「本当はどうしたい?」と問いかけたとします。すると、「眠いし、疲れているし、もうちょっと眠りたい」という答えが返ってきたとします。
こんなとき、あなたならどうしますか?
自分を甘やかす傾向のある人は、「やっぱり、体の声を聞くのは大事。疲れているから今日は7時まで寝ちゃおう!」と考えて眠ります。
自分を甘やかしてしまう人は、自分の声に「耳を傾ける」ことと、声に「従う」ことを混同してしまっているのです。つまり、自分の声を聞くことと、その声の望み通りに行動することは区別してください。