「体験入居」は特別待遇、体験入居者を優先しなければならない。(※写真はイメージです/PIXTA)

「体験入居」をしても老人ホームを本当にわかることはできません。またほんの数時間、ほんの数ホームの見学をして、良い老人ホームかどうかなど、わかるようになるわけがありません。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者の小嶋勝利氏が著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)で解説します。

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なぜ職員の多くは「体験入居」を否定するのか

多くの老人ホームでは、体験入居やショートステイという商品を用意しています。目的はもちろん、新規入居者獲得のためです。この問題に関する裏話を一つ。

 

そうはいっても、体験入居や終身ホームでの営業目的のショートステイをやること自体は、多くの介護職員は、実は「NO」なのです。制度や仕組み自体を前向きには受け止めていません。なぜだと思いますか?

 

理由は2つあります。一つは、入退去の手続きが面倒だからです。持参した荷物のチェックに始まり、その管理方法、中には、特別な器具を持ち込む入居者もいて、その操作方法なども覚えなければなりません。細かいことを言えば、おむつの種類も違うので、やり方も変わります。

 

訪問介護の介護職員であれば、このようなことは当たり前のことなのですが、施設介護の場合、可能な限り業務を平準化している関係上、いつもと違うことに対する違和感はストレスになります。

 

さらに、これが介護職員からすると一番ストレスになることなのですが、体験入居者、ショートステイ入居者に対する支援で労働比重が大きくなるため、本入居で何カ月間も住んでいるほかの入居者に対する支援が手薄になってしまいます。

 

ほかの入居者からトイレ介助の申し出があっても、場合によっては、待ってもらい、体験入居者を優先しなければなりません。

 

私が働いていた老人ホームの例で言いますと、1000万円超の入居金を支払い、毎月数十万円の利用料金を負担している入居者ばかりのホームでしたが、体験入居や営業的ショートステイの入居者は、ほとんど費用の負担がありませんでした。

 

介護職員の中には「なんで、大金を支払っている入居者に待ってもらい、無料で入居している人を優先しなければならないのか? 逆なのでは?」と思いながら仕事をしていた介護職員も少なくありません。矛盾点であり、難しい問題です。

 

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※本連載は小嶋勝利氏の著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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