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「体験入居」のメリットとデメリットとは
■体験入居の居心地がいいのは、当たり前
多くの老人ホームや介護のプロは、「どんなホームかわからないので、まずは体験入居をしてみてはどうでしょうか?」という提案をしています。そして、その提案に対し、多くの入居相談者は「なるほど」と共感し、体験入居をしています。そして「このホームでいいんじゃない?」という結論に至り、入居を決めてしまいます。
また、体験入居とほぼ同じ意味合いのスキームに「ショートステイ」というのがあります。ショートステイとは、数日から1週間程度を目安に、当該ホームにステイするスキームを言います。体験入居と違うところは、料金体系です。
体験入居の場合は、当然、無料のホームからいくばくかの実費を支払うパターンが多いようです。ショートステイの場合は、少し話が複雑で、介護保険制度の中で行うショートステイと、全額自己負担で行う自費のショートステイに分かれます。さらに、世の中にはショートステイ専門の介護保険施設もあります。
多くの老人ホームでは、体験入居やショートステイという商品を用意しています。目的はもちろん、新規入居者獲得のためです。
多くの老人ホームの入居担当者は、次のようなことを口にします。「なんとかホームまで来てもらえれば、説得することができるのに!」と。これは、相談者や対象者が自分の老人ホームに見学にさえ来てくれれば、口説き落とすことができる、という自信の表れです。ましてや、数日間の体験入居をしてくれれば、確実に説得することができる、という話なのです。
ちなみに、私自身も、まったく同じ考えです。理由は簡単です。その道の専門家が、素人に説明をする時、単に口先だけで説明をするのと、パンフレットなどを見ながら説明するのとでは、どちらがわかりやすいでしょうか? さらに、パンフレットなどを見ながら説明をするよりも、実際にホームを見学しながら説明を受けるのとでは、いったいどちらがわかりやすいでしょうか?
答えは歴然ですね。ホームを見学しながら説明を受けるほうが圧倒的に理解もしやすく、印象にも残ります。
さらに、多くの見学者は老人ホームの素人なので、何度も何度もホーム側の説明に「なるほど」「なるほど」と頷くはずです。ましてや、体験入居などで実際に本人が数日間入居してしまえば、まさに「飛んで火に入いる夏の虫」です。