本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が3月9日に配信したレポートを転載したものです。

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ブラジル株に「再評価」の兆し

■本記事のポイント

 

・米金利上昇懸念やウクライナ情勢悪化などから二極化する新興国通貨のなか、ブラジル・レアルへの見直しが進む。

・海外投資家の資金流入加速がブラジル株の上昇を下支え。海外投資家の債券投資も1月には流入超に転じる。

・ブラジル株は新興国株のなかでも割安感高まる。ブラジルの利上げが終盤に入り、金利差が債券投資流入を後押し。

・(大統領選挙動向)ルーラ氏はアルキミン氏と組むことで中道寄りの姿勢を示唆し、選挙を巡る市場の懸念が後退。

年初来でブラジル・レアルへの見直しが進む

2022年の為替市場では、米国の利上げ懸念の台頭やウクライナ情勢の悪化などを受けて、新興国通貨の値動きが二極化する傾向にあります。

 

 特に足元ではロシアによるウクライナ侵攻と欧米諸国による経済制裁強化の影響からロシア・ルーブルの急落が顕著となっているほか、トルコ・リラやユーロなど周辺の欧州通貨にも下落が広がっています。

 

一方、米金利上昇への懸念や地政学的な不透明感が高まるなかでも、ブラジル・レアルや南アフリカ・ランドなどの新興国通貨を再評価する動きもみられます。2022年初来でのブラジル・レアルの騰落率(対米ドル)は+9.4%と、主要通貨のなかでもっとも底堅い上昇を示しています(図表1)。

 

[図表1]主要通貨の年初来騰落率(対米ドル)
[図表1]主要通貨の年初来騰落率(対米ドル)

海外資金の流入拡大がブラジル株を押し上げ

また、世界の株式市場のなかでも、2022年はブラジル株のパフォーマンス改善が顕著となっています。昨年後半には大統領選挙を巡る不透明感などから軟調な推移が続いたブラジル株ですが、2022年のボベスパ指数の年初来騰落率は+6.5%とプラスのリターンに転じています。

 

足元のブラジル株の上昇を支えているのは、海外投資家による資金流入です。3月3日時点での海外投資家のブラジル株への資金流入額は2022年初来累計で690億レアル(約1.6兆円*)にのぼり、昨年から資金流入が加速していることが分かります(図表2)。

※為替換算レート:1レアル=23円

 

[図表2]ブラジル株と海外投資家の資金フローの推移

[図表2]ブラジル株と海外投資家の資金フローの推移

海外投資家の債券投資も資金流入に転じる

また、ブラジルの国際収支統計によれば、2022年1月には海外投資家の債券投資も資金流入超(+26.9億米ドル)に転じるなど、2022年初の海外投資家のブラジルへの証券投資は、株式投資と債券投資の両面から流入が進みつつあるようです(図表3)。

 

[図表3]海外投資家のブラジルへの証券投資の推移
[図表3]海外投資家のブラジルへの証券投資の推移

 

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