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格付けを下げないために「赤字を出さないこと」が第一
重要なのは、格付けを下げないこと。そのためには、まず赤字を出さないことが大事。
返済の遅延なども起こさない。税金も納期までにしっかり納める。遅延については注意していれば防げるが、コロナ禍のような状況では、赤字は避けるのが難しい場合もあるかもしれない。
しかし、どういう状況でも、銀行などの金融機関は赤字を嫌う。それは事実として覚えておかなければならない。
また、一度くらいの赤字なら、翌年(次の期)に黒字に戻ればそれほど評価に影響しない。ここでもやはり管理会計が重要になる。管理会計で現金残高を見ていけば、赤字の要因が見えやすくなる。要因が見えれば、解決策も考えられる(【⇒関連記事:「前月の固定費はいくらでしたか?」…倒産する会社、生き残る会社の「分かれ目」】)。
例えば、固定費を抑える、役員報酬を下げるといった施策が考えられる。
■「3期連続の赤字」になると融資は“絶望的”
コロナ禍のような状況では、入ってくるお金(売上)を伸ばすのは難しいが、出ていくお金(経費)を抑えるのは比較的簡単だ。今期の赤字が確実だった場合、来期はどうだろうか。黒字が見込めるのであれば、黒字回復が確実になるように、今期で処理できる赤字は今期で処理するといったこともできるかもしれない。この処理は税制上のルールを違反しないように税理士に相談する必要があるが、合法的に来期の黒字化の確率を高めることはできる。問題は、来期も赤字になりそうな場合だ。2期連続の赤字になると融資はかなり難しくなる。
さらに困るのは3期連続の赤字。こうなると、融資は絶望的になる。そうなってしまう前に、資産を売却して営業外収入を増やしたり、経営者に掛けている保険や倒産防止共済などを解約する方法を検討してみよう。
銀行にとって「貸したい企業」になるには?
■口座開設、地道な積み立て、投資信託商品の購入…日頃の付き合いが大事
「貸してもいい」から「貸したい」にランクアップするためには、基本は決算書の見栄えを良くすること。
ただ、もっと基本的なこととして、銀行などの金融機関や担当者との関係も重要。
例えば、口座を作ってつながりを作る。コツコツ積み立てて現金があることを知ってもらう。最近は金融機関が投資信託などを扱っているため、そのような商品をちょっと買ってみてもいい。
つまり、日常的な付き合いが大事ということ。この点は、貸す側の立場になってみれば分かりやすいはず。
見ず知らずの人にお金は貸さない。正体不明の人にもお金は貸さない。
融資の担当者も基本的にはそう考える。
また「貸してほしい」と頼み「いいですよ」と快諾されるのは基本だが、できれば銀行などの金融機関から「借りてくれませんか」と声がかかる会社を目指したい。
この点も、貸す側の立場になってみればよく分かる。
「貸してほしい」人はお金に困っている。つまり、貸す側として貸すリスクがある。
一方、「貸してほしい」と言わない人は、お金に困っていないし、借りる理由がないから、貸してほしいと言わない。融資の担当者は、そういう会社に貸したい。「貸してほしい」と言わない人なら、回収不能になるリスクをほとんど取ることなく利息が取れる。そのような心理が働くため、結果、お金を持ってる会社にさらにお金が集まる。恋愛に例えれば、モテる人がたくさんの人にモテる一方、モテない人は全然モテないと言うこと。