戦略設定の順序は3パターンの中から
ビジョン・戦略立案フレームワークを使用する場合、その取り組みパターンは次に示す通り大きく分けると3通りあります。
(1)ビジョン先行型
このパターンは、先に経営ビジョンや経営目標を設定し、そこから事業環境分析に戻ってきて、最初に設定したビジョンや経営目標と現状と将来見通しとのギャップを埋められるような戦略立案を行うパターンです。この手順は、先に紹介したバックキャスティング発想の順序と同じになります。
(2)分析先行型1
事業環境分析を先に行い、その上で経営ビジョンや経営目標を設定し、その間のギャップを基本戦略や個別戦略で埋めて行こうとするものです。一定の分析に基づいて目標設定を行います。
(3)分析先行型2
事業環境分析を先に行い、その上で実行可能な戦略立案行い、その戦略がうまく行ったら到達できる経営ビジョン・経営目標を最後に設定するパターンです。このパターンは、「5.事業計画書作成に必要な発想方法」で紹介したフォーキャスティング型発想と同じ順序になります。
(2)の分析先行型1は、(1)と(3)の中間パターンと言えます。事業環境が安定していて「改善」程度で良い場合には、(3)分析先行型2でも大丈夫ですが、「改革」や「変革」が必要な場合や、新規事業を創造する場合は、(1)ビジョン先行型または、(2)分析先行型1が必要になります。
では、(1)ビジョン先行型と(2)分析先行型1は、どのような使い分けをしたら良いのでしょうか。筆者がオーナー経営者から仕事を受けて中期経営計画の立案を行う際は、(1)ビジョン先行型を取っていました。
また、社内の部課長クラスを集めて中計策定プロジェクトを進める場合は、分析先行型1を使いました。経営形態やプロジェクトメンバーの構成によって順序を変えているのです。
それは、オーナー経営者の場合であれば、わざわざ分析をしなくても、現在の社内のことはおおよそ見当がついています。ですから、内部の分析をしないと目標設定できないということはなかったのです。
それに対して、社内の部課長クラスの方々は、社内のことが分かっているといっても、自分の担当業務や担当部門のことについてだけで、会社全体のことについてはよく分かっていせん。このため、まず本人達に視野を会社全体に広げ、視点を経営者レベルに上げてもらうために事業環境分析から始めていたのです。
そうでないと、部課長クラスがいきなり「会社の望ましい将来像は?」と始めると、荒唐無稽の夢物語が出てくる可能性があります。
ビジョン・戦略立案フレームワークは、体制や状況によって取り組む順序を変える
井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表
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