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新型コロナが休廃業・解散に拍車をかける?
後継者がいないことから、たとえ事業が黒字であっても休廃業・解散を選ばざるを得ない…そんな時代が訪れようとしています。
このままの状況を放置すると、2025年までに70歳を迎える中小企業経営者は増え、後継者が不在のままだと企業は存続することができず、社会から消え去ってしまいます。その結果、累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われるという指摘があり、これは日本経済にとって多大な損失です。
経営者が高齢である会社の場合、従業員も若手は少なく中堅以上が多いので再就職は厳しいでしょう。取引先も社歴が長く持ちつ持たれつの関係であれば、その影響は計り知れません。もしかすると、休廃業・解散が連鎖したり、倒産も増えたりする恐れがあります。
■政府による経営支援策が今後の事業運営の負担になる可能性
これに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響も気になります。東京商工リサーチの調べによると、新型コロナ関連の倒産は2089件(21年9月24日現在)と、多くの事業者に負の影響を与えました。同社が21年3月に実施したアンケート調査でも、約7割の企業が「活動への影響が続いている」と回答しています。
一方、政府や金融機関は最大200万円の持続化給付金であったり、無利子・無担保の融資であったりと、被害を受けた中小企業に対する手厚い支援策も行いました。これらに助けられたところは多かったでしょう。
ただし、問題はこれからです。そもそも、コロナ禍前から業績が低迷していた中小企業にとって、コロナ支援策は一時の延命措置にしかなりません。
コロナ禍だけではなく、アフターコロナをきっかけとして、「こんな状況では会社を引き継ぐことはできない」「自分の代で事業を畳もう」と考える経営者は、決して少なくないと思います。資金が尽きて周りに迷惑をかける前に、休廃業・解散を選ぶ中小企業は増えてもおかしくないでしょう。
ですが、これも非常に残念な話で、本来であれば有望な経営者に引き渡すことができれば、事業を立て直してくれるかもしれません。そこで、本連載で訴えたいのは「M&A」の有効的な活用です。