現在、後継ぎがいない「後継者問題」に直面している会社がたくさんあります。特に、中小企業では、この後継者問題が深刻化していて、対策が必要となっています。どのような対策があるのでしょうか。株式会社M&Aナビ社長の瀧田雄介氏が著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)で解説します。

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事業承継するには4つの選択肢しかない

これまで事業承継を取り巻く現状を解説しました。今回からは、未来志向の事業承継を実現するためのフレームワークについて述べていきます。

 

上場企業をはじめとする大手企業は「経営」と「所有」が分離していて、不特定多数の株主から経営を任されるという構図なので、社内外から優秀な人材を選ぶことで事業は存続します。

 

他方、中小企業は自社の株主と経営者は同一であることがほとんどです。そうでなくても経営者やその親族が自社株を所有していて、経営を引き継ぐには自社株の承継はもちろん、それに伴う相続税の負担や個人保証などの課題もクリアにする必要があります。

 

親族以外に承継するとしても、株式の譲受代金など、相手方は多額の資金を要するといった問題もあり、一筋縄ではいきません。だからこそ、「誰」に承継するのかを明確にしたうえで、進めていく必要があります。これが、事業承継のファーストステップと言えます。

 

瀧田雄介著『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より。
【図1】事業承継の相手は「親族」「社内」「社外」「M&A」 瀧田雄介著『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より。

 

■事業承継の相手は「親族」「社内」「社外」「M&A」の4種類

 

事業承継の相手に誰を選ぶのか。経営者からするともっとも悩ましいところですが、それは「親族」「社内」「社外」「M&A」の4種類に大別されます。ここでは概要とメリット・デメリットについて考えましょう。

 

■相手①親族(親族内承継)

「親族内承継」とは、経営者の家族のなかから後継者を選ぶ事業承継の手段です。とりわけ、中小企業においてはもっともメジャーな手段であり、お子さんや娘婿といった親族に事業を引き継ぐ経営者は多く見られます。

 

親から子へ家業を引き継ぐことは古くから珍しくありません。親からすると子どもが小さいころから背中で仕事をする姿を見せているので事業に対する想いを伝えやすく、経営権や株式だけではなく「理念」も含めて引き継ぐことができるのが、最大のメリットと言えます。

 

従業員や取引先など社内外のステークホルダーから理解が得やすく、後継者として受け入れやすいのも利点です。他の手段では自社株の売買を経る必要がありますが、親族内承継は相続や贈与の形で承継できるのもポイントです。

 

税法や民法でも親族内承継による資産相続にはいくつか優遇措置が用意されていて、スムーズな引継ぎが実現しやすいと言えます。

 

ただし、経営者としての資質や能力を持つ後継者が親族内にいるとは限りません。能力的に無理のある親族を後継者にすると、その後に経営状態が悪化する恐れがあり、従業員が反発して社内不和や離職が起きたり、取引先からも距離を置かれたりする可能性があります。

 

親目線に立つと、斜陽産業であったり経営がうまくいっていなかったりする場合は、事業は継がずに好きなことをしてほしいという願いもあるでしょう。家業は大事ですが、子どもの人生も尊重したいというジレンマが親族内承継にはつきまといます。

 

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    ※本連載は、瀧田雄介氏の著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より一部を抜粋・再編集したものです。

    中小企業向け 会社を守る事業承継

    中小企業向け 会社を守る事業承継

    瀧田 雄介

    アルク

    後継者がいなくても大丈夫!大事に育ててきた会社を100年先へつなぐ、これからの時代の「事業承継」を明らかにします。 日本経済を支える全国の中小企業は約419万社。そして今、その経営者の高齢化が心配されています。2025年…

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