(※写真はイメージです/PIXTA)

最新テクノロジーを活用した金融機関専用のM&Aプラットフォームは、金融機関やその取引先である売り手企業に、多くのメリットをもたらします。M&Aプラットフォームを活用することで幅広い対象にアプローチすることができます。株式会社M&Aナビ社長の瀧田雄介氏が著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)で解説します。

事業承継を解決するM&Aプラットフォーム

■「金融機関専用のM&Aプラットフォーム」活用のメリット

 

最新テクノロジーを活用した金融機関専用のM&Aプラットフォームは、金融機関やその取引先である売り手企業に、多くのメリットをもたらします。

 

例えば、経営者からすれば「業績がよくないから買い手が見つかるはずがない」と思っていたとしても、全国各地の買い手候補が案件をチェックできるので、マッチングの可能性は高まるに違いありません。

 

限られた地域で事業を展開する地銀の場合、営業エリア内で買い手候補を探すことになりますが、M&Aプラットフォームがあることで、幅広い対象にアプローチできるのはメリットになるでしょう。

 

また、取引先の情報や案件の進行状況を把握できる管理画面を提供すると、適切なタイミングで融資の提案ができ、M&AプラットフォームにM&Aニーズを集約すると、成約手数料を見込むことができる案件に対して営業活動を行うこともできます。

 

例えば、ある程度規模が大きく行員がファイナンシャルアドバイザーとして付く案件は成約手数料を徴収し、小規模案件についてはM&Aプラットフォームを取引先に無償で貸し出し、自由に使ってもらうといった形を取ることが可能です。顧客ニーズに対して柔軟にサービスメニューを用意することができます。

 

小規模M&Aは収益化しにくいといった課題は、レベニューシェア(利益の配分)で解決を図ります。当社の場合、現在は完全無料のサービスですが、2023年度をめどに、希望する買い手は月額制にして非公開案件や新着案件へのアクセスに優先順位を付与する予定です。

 

ここから得られる収益を原資にして、売り手をプラットフォームに誘致した場合にインセンティブをお支払いすることを考えています。こういった形で、手数料ビジネスの収益機会の拡大に貢献したい考えです。

 

金融機関専用の事業承継プラットフォームを用意することで、事業承継ニーズの掘り起こしにも役立ちます。M&Aプラットフォームに情報を集約しておくと活用しやすく、銀行グループ全体で情報を共有しておけば、M&A件数の増加にもつながっていくでしょう。

 

これまで、さまざまな課題があり積極的に取り組むことができなかった金融機関であっても、M&Aプラットフォームを使うことで、大規模から中小規模まで、幅広い事業承継ニーズに対応できるようになります。

 

瀧田雄介著『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より。
瀧田雄介著『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より。

 

次ページ金融機関がM&Aの事業継承支援者として最適

※本連載は、瀧田雄介氏の著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より一部を抜粋・再編集したものです。

中小企業向け 会社を守る事業承継

中小企業向け 会社を守る事業承継

瀧田 雄介

アルク

後継者がいなくても大丈夫!大事に育ててきた会社を100年先へつなぐ、これからの時代の「事業承継」を明らかにします。 日本経済を支える全国の中小企業は約419万社。そして今、その経営者の高齢化が心配されています。2025年…

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