表明保証とは、M&Aにおいて売り手が買い手に対し、対象企業の財務や法務などに関する事項が真実であることを表明して保証することをいいます。M&A後の思わぬトラブルによる損失を回避・軽減することができ、中小企業のM&Aを発展させるのに有効な手段といえるでしょう。株式会社M&Aナビ社長の瀧田雄介氏が著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)で解説します。
中小M&Aにおけるリスク対応
中小規模のM&Aはコストの観点から利用できるサービスに制約があり、それが原因で最終契約の締結後に瑕疵が発覚するといったトラブルが見受けられます。
こういった被害を防ぐため、売り手が買い手に対して財務や法務などに関する開示内容に虚偽がないことを表明・保証し、これに反した場合は買い手が被る被害を金銭的に補償する「表明保証」を行うことが増えています。
M&A後の思わぬトラブルによる損失を回避・軽減することができ、中小企業のM&Aを発展させるのに有効な手段といえるでしょう。ただし、保証の範囲は売り手側と買い手側で合意が得られず、限定的になるケースも多いようです。
こうした課題に対して、一部の保険会社からは小規模案件を含めて中小M&A向けの表明保証保険が提供され始めていて、想定外のリスクを軽減するものとして、その普及が期待されています。
表明保証保険の内容は各社により異なりますが、例えば、M&A契約時に簿外債務はないと売り手が表明保証をした場合、クロージング後に簿外債務が見つかると、買い手は売り手に対して補償を請求します。
ところが表明保証保険に加入していると保険会社が補償するので、売り手としては安心です。事実と異なる表明保証をした場合は補償の対象になりませんが、売り手・買い手の双方にとって思わぬトラブルを回避する手段になりえます。
株式会社M&Aナビ
代表取締役社長
1990年生まれ。広島県出身。大手業務基幹パッケージベンダー株式会社ワークスアプリケーションズにて、人事・給与プロダクト開発に従事。その後、スタートアップ企業にてサービス開発を経験し、ソフトウェア開発会社を設立。M&A ナビの開発に当初より関わり、2019年1月取締役CTOとして株式会社ALIVALに参画。2021年2月に代表取締役社長就任、商号も株式会社 M&A ナビに変更する。日本の事業承継問題を解決できるような新たなプラットフォームの創出を目指す。後継者不足で悩む経営者と親密な関係を築いている地域金融機関がM&Aのメインプレイヤーになるべきという想いから、現在は、自社サービスを地域金融機関にSaaS として提供し、地域金融機関のM&A・事業承継のDXを支援する。
株式会社M&Aナビ
https://ma-navigator.com/
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