今後、新型コロナが中小企業の休廃業・解散に拍車をかけると指摘されています。2025年までに約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われると予測されています。この危機をどのように乗り切ればいいのでしょうか。株式会社M&Aナビ社長の瀧田雄介氏が著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)で解説します。
親族内・社内承継からM&Aによる第三者承継に
親族内や社内などに有望な候補者が見つからず、休廃業・解散を余儀なくされた中小企業経営者もいるでしょう。しかしながら、親から継いだり、もしくは自身が創業して大きくしたりしてきただけに、後ろ髪が引かれないわけがありません。そうしたなか、注目されているのがM&Aを通じた第三者承継です。
レコフデータの調べによると、日本におけるM&A件数は増加傾向で、2017年に年間3000件、19年には同4000件を超えました。20年はコロナ禍の影響で前年より減りましたが、依然として高水準で推移しています。未公表の案件を含めると、実際はもっと多いと考えられます。国内M&A市場は確実に拡大しています。
背景として挙げられるのは、やはり事業承継です。譲渡企業としてM&Aを検討したきっかけや目的の割合で高かったのは「従業員の雇用や維持」や「後継者不在」といった事業承継に関する項目です。
また、「事業の成長・発展」と、オーナー経営者ならではの想いも見え隠れします。身内や社内に後継者がいないからといって事業承継を諦めるのではなく、新たな担い手を第三者から見つける、次代の経営者にバトンタッチすることで、事業の再生も期待できます。
事業承継は、オーナー社長にとって最初で最後の一大仕事。だからこそ、M&Aが一つの選択肢であることを知っていただきたいと思います。
株式会社M&Aナビ
代表取締役社長
1990年生まれ。広島県出身。大手業務基幹パッケージベンダー株式会社ワークスアプリケーションズにて、人事・給与プロダクト開発に従事。その後、スタートアップ企業にてサービス開発を経験し、ソフトウェア開発会社を設立。M&A ナビの開発に当初より関わり、2019年1月取締役CTOとして株式会社ALIVALに参画。2021年2月に代表取締役社長就任、商号も株式会社 M&A ナビに変更する。日本の事業承継問題を解決できるような新たなプラットフォームの創出を目指す。後継者不足で悩む経営者と親密な関係を築いている地域金融機関がM&Aのメインプレイヤーになるべきという想いから、現在は、自社サービスを地域金融機関にSaaS として提供し、地域金融機関のM&A・事業承継のDXを支援する。
株式会社M&Aナビ
https://ma-navigator.com/
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