(※写真はイメージです/PIXTA)

近年、日本ではM&Aの件数が増加していて、そのなかでも中小企業を対象にした、いわゆる「スモールM&A」の件数増加が顕著です。 中小企業の多くは、企業で事業承継問題や後継者問題は、喫緊の課題となっています。 スモールM&Aは、中小企業が抱えるこれらの課題の解決策として、特に注目されています。株式会社M&Aナビ社長の瀧田雄介氏が著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)で解説します。

M&Aプラットフォームとは

中小企業の事業承継に大きな役割を果たすことが期待される、M&Aプラットフォームについて紹介・解説します。

 

■インターネットを使い低コスト・スピーディにM&Aを実施するサービス

 

M&Aプラットフォームとは、インターネット上のシステムを使ってM&Aの売り手と買い手を結び付けるサービスを指します。近年はメルカリのような「モノ・サービスを必要とする人」と「モノ・サービスを提供する人」を橋渡しするビジネスが増えていますが、そのM&A版と考えるとイメージしやすいでしょう。

 

基本的には売り手・買い手の双方が会員としてサービスに登録し、売り手は売却案件情報、買い手は買収条件などを登録。買い手側が売却案件情報をチェックしたうえで、気になる売り手に交渉を打診し(逆のパターンもあり)、双方が合意に至るとマッチングが成立します。

 

なぜ、こういったサービスが登場したのか。当然ながらテクノロジーの進化もありますが、中小企業の事業承継問題とも無関係ではありません。

 

そもそも、株式評価やデューデリジェンス(DD)など、フルサービスを提供するM&A仲介会社が対応する案件は、売上高1億円以上の中規模〜大規模案件です。この場合、M&Aアドバイザーによる手厚いサポートを受けながらマッチングを進めますが、かかる手数料は数千万円単位と高額にのぼることもあります。

 

よって、M&A仲介会社を利用できるのは、売り手・買い手ともに上場企業やそれに準じる規模など、限られた法人になってしまいます。フルサービスの場合は、マンパワーの関係で、M&A仲介会社は小規模の案件に関わりたくても関わることができないのです。

 

ところが、これでは中小企業の事業承継問題は解決しません。そこで注目されているのが、システムを使うことで人件費を抑え、サービスも簡素化、低コストで使うことができるM&Aプラットフォームです。

 

アメリカでは「Businessforsale.com」などのサービスが1990年代後半に、欧州でも2000年代初頭にいくつか生まれ、日本でもここ数年でサービスが普及し始めました。具体的には当社の「M&Aナビ」や「TRANBI(トランビ)」、「BATONZ(バトンズ)」などが有名です。

 

瀧田雄介著『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より。
瀧田雄介著『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より。

 

次ページM&Aプラットフォームの特徴は低コスト

※本連載は、瀧田雄介氏の著書『中小企業向け 会社を守る事業承継』(アルク)より一部を抜粋・再編集したものです。

中小企業向け 会社を守る事業承継

中小企業向け 会社を守る事業承継

瀧田 雄介

アルク

後継者がいなくても大丈夫!大事に育ててきた会社を100年先へつなぐ、これからの時代の「事業承継」を明らかにします。 日本経済を支える全国の中小企業は約419万社。そして今、その経営者の高齢化が心配されています。2025年…

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