【2】小さな課題を解決していく
最初の関門である「正しい現状分析」ができたあとも、通常のコンサルティングでは失敗してしまうポイントがあります。
それは現状分析をしたあとの「課題抽出」作業と「改善計画」の立て方です。
ハンズオン型のコンサルティングでは、現場に深く入り込み、現場で何が起こっていて何が問題なのかを分析していきます。しかし、その答えは特定の誰かがもっているわけではありません。全社員にヒアリングさえすればいいのではないのです。
全社員にヒアリングを行い、そこで得られた断片的な情報を元に、そこに自分の知識と経験に基づく推察を交えて、組織で起こっている問題が何で、課題はどこにあるのかを分析していきます。ただし課題には「レベル感」が存在します。
レベル感とは、業績改善という大目標に対して、その課題が何なのかを「なぜ、なぜ、なぜ?」と具体的にしていくなかで、抽象度の高い課題から、現場の具体的で細かい課題へと分解していくなかで生じる深度の差を指しています。
多くのコンサルティングが失敗してしまう理由には、この課題抽出のレベル感を誤り、最初に手を付けるべき課題を見誤って改善計画を立て、実行してしまうことにあります。この課題抽出作業と改善計画の立て方を、筆者は「ストーリーづくり」と呼んでいますが、組織改革のストーリーではエンディングは「業績が改善される」です。
しかし、このエンディングに向けて「始まり」をどこにするのかが重要で、始まりとなるべき課題を誤ると、このストーリーがうまく完結することがなくなってしまいます。
ストーリーを構築する際に重要になってくるのが、次の3つです。
●やるべきことを分かりやすい言葉で説明すること
●必要な仕事を社員が実行できるレベルに細分化すること
●分割した個々の仕事の優先順位を明確に示すこと
組織としてのムダをなくし生産性を上げるというゴールを設定した場合を例に見ていくと、「Aさんは紙での報告をやめる」、「B主任は3万円までなら自分の判断で予算を使ってよい」といった具体的なルールや変更点を示して、取り組みやすい状況をつくっていくことが必要となってきます。
また、仕事をどのように細分化するかにも、経営者の性格やこれまでの組織の歴史など、多くの要素が複雑に絡み合っています。したがって、戦略の立案をマニュアル化することはできず、多くの業種業態を経験し、成長を実現してきたコンサルタントにしか対応できません。
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