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4つの事例を通じ、解決プロセスを具体的に理解する
現場に深く入り込んだうえで課題を抽出し、クライアント企業と一緒になって課題解決をしていくコンサルティング手法「ハンズオン型」コンサルティングでは、中小企業の課題を解決するにあたり、中小企業が成長の踊り場へと至る典型的なパターンを前提としています。
「モグラたたき」パターン
「悪しき平等主義」パターン
「笛吹けど踊らず」パターン
「迷走する組織」パターン
(※ 詳細は『中小企業が伸び悩む典型的な4パターン「モグラたたき」「悪しき平等主義」「笛吹けど踊らず」「迷走する組織」』参照)
「迷走する組織」パターンの予兆
今回は、「迷走する組織」パターンに該当する、危険の予兆について見ていきましょう。
「迷走する組織」パターンの危険の予兆
「予算未達成の月が増えてきたな」
「おせっかいな人が減ったな」
「いきなり退職する社員が増えてきたな」
「質問してもあやふやな回答しか返ってこないな」
「いつも同じような報告や提案しか受けていないな」
「どうしてその場で答えられないんだろう」
●危険の予兆とはどのようなものか
組織の弱体化に危機感を覚えた経営者は、ほぼ必然的に組織改革を実行します。それにより課題が解決する場合はよいのですが、そうではない=成果がなかなか上がらない場合には、処遇面を抑制したり、責任者クラスの中途採用を積極的に行ったりするなどの対策を取るようになります。
しかし、そのような対応が「笛吹けど踊らず」に陥り、組織や社員を疲弊させてしまいます。そんな状況では成果が出るはずもなく、それどころか、一歩まちがえると踊り場から下り方向へ進んでいく恐れさえあります。そのような下り坂で登場してくるのが、この「迷走する組織」パターンであるといえます。
このパターンに陥った経営者は、次のような台詞をよく口にします。
「予算の未達成や、売上や利益が期待したレベルにないといった現実ははっきりしている。しかし、その理由がまったく分からない。幹部に尋ねても、あやふやな回答しか返ってこない。いつも判で押したように同じ答えばかり返ってくる」
これらの予兆によって経営者の心にはさらにイライラが募り、次に見ていくような誤った対処を重ねてしまうことになります。
組織が迷走した際の対応として最も不適切なのは、迷走を抑えるために組織自体を変えてしまおうとすることです。
具体的には、「パッケージ型」のコンサルティングが得意とする理念やビジョンの変更です。さらには人事制度や評価制度の変更もしくは新規導入、さらに無計画な中途採用もこのなかに含めることができます。そして、組織変更や分社化といった対応も、現実には少なからず見受けられるものですが、明らかに不適切な対処のほうに該当します。
このような予兆がなぜ生じることになるのか。まずはこの点を理解することが大切です。そして、ここでもやはり、組織を迷走させる=阻害要因として機能してしまっているのが「イエスマン」です。
「モグラたたき」や「悪しき平等主義」、「笛吹けど踊らず」のパターンでは、「ひたすら頑張る」「部下を守る」という建前が働いていたイエスマンが「迷走する組織」パターンに陥ると、経営者に対して事実とは異なる報告を重ねます。
それを前提として経営者は対応策を考えるので、状況は改善しません。そこで経営者はさらに深く原因を掘り下げようとします。「みんな頑張っている」「競争環境が厳しい」、その言葉を信じてきたが、他社は順調に業績を伸ばしているじゃないか。そんな思いで経営者に追及されたなら、これまで事実を正確に報告してこなかったことがばれてしまう。
そこでイエスマンは激しく焦ります。嘘がばれたら、今の地位を守ることができなくなる。そうなるくらいなら、とことんまでごまかしてしまおう。こうした保身的な考えの結果が、あやふやな回答であったり、判で押したような回答であったりするわけです。経営者からの追及が鋭いものであれば、当然その場では答えられないという対応になってしまいます。
会社の業績はどんどん悪化しているのに、イエスマンがさらにつじつま合わせの報告を重ねることで、組織は迷走状態へと突入します。誤った地図を基に舵を切るため、正しい目的地にたどり着けないどころか、むしろそこから遠ざかっていくことにまったく不思議はありません。あるいは度重なる自己合理化によって、イエスマンでさえも本当は何が起こっているのか分からなくなっている。そんな恐れさえあるといえます。
原因不明な伸び悩みの状態が続くことで、外部の目=コンサルティングの導入を検討します。しかし、予兆や危険のレベルを読み誤り、依頼先をまちがうと、さらに問題を悪化させる=危険を顕在化させることにつながります。
株式会社ココチカ
代表取締役社長 山中 一浩
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