(※写真はイメージです/PIXTA)

図書館などの公的な施設を民間企業に運営委託するとコストが削減でき、サービスも向上するといいます。公共施設を民間企業に管理運営を任せる指定管理者制度は魔法の杖なのでしょうか。渡瀬裕哉氏が著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)で解説します。

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コスト削減とサービス向上は本当か

こうしたことを可能にしたのは、平成15年(2003)9月に施行された指定管理者制度です。図書館などの公的な施設を民間企業のような営利機関、NPO法人、市民グループなど、指定した団体に管理運営させる制度です。その結果、コスト削減やサービス向上につながり、開館時間をこれまでより長くしたり、電子アプリで書籍の予約ができるようになったり、これまで利用者が「あったらいいな」と思うようなことができるようになりました。便利だし、お洒落だしということで、利用客が大幅に増加した例があります。

 

たとえば、神奈川県海老名市の市立図書館です。平成26年(2014)度に指定管理者制度を導入した海老名市立中央図書館は運営に関して様々な問題提起もされましたが、初年度の来館者数26万人から翌年度には80万人にまで増え、前年比およそ3倍増の実績となっています。図書を多くの人に読んでいただくことを考えれば、大変意味のある数字です。

 

また、同じ神奈川県の大和市は、「シリウス」という施設を作りました。図書館、芸術文化ホール、子ども広場、生涯学習センターに加え、コンビニエンスストアやカフェもある複合施設を作り、「文化創造拠点」を謳います。「誰もが居場所を見つけられるように」をモットーとして、飲食可能なスペースを含め館内のどこでも図書館の本が読めるというような従来にはなかった施設です。

 

駅から徒歩三分の立地の良さもあり、オープンから3年間の累計来館者数は1000万人を超え、来館者数は日本一と言われています。運営会社の「やまとみらい」は、株式会社図書館流通センターを筆頭に、複数の民間企業から構成される団体です。

 

こうした民間の経営ノウハウを活かした運営が始まり、実績を上げているのが最近の図書館の状況です。

 

公立図書館がこのように変わってきている中、民間図書館というものもあります。行政が持っている図書館を民間企業に運営してもらうのとは異なり、図書館の所有・運営のすべてが民間で行われているものです。実際に運営しているのはNPO法人などの団体で、地方でよく耳にするような、商店が経営をやめてしまい「シャッター通り」と呼ばれるような商店街の一部を借りた図書館です。借りたスペースに地域の人たちから本を集めて、図書館を作ります。中には数千円単位の出資で、そのなかの本棚ひとつをプロデュースする権利を買うことができるものもあります。

 

これは、近代的な図書館運営をモデルにした公共図書館とは、まったくコンセプトの異なる民間図書館で、こうした試みも増えてきています。

 

お客さんがまばらになった商店街、マンションの公共スペースなど、設置場所は様々です。図書館が設置されたところには住民が集まり、交流が生まれます。地域コミュニティの中で、人々の生活をつなぐハブのような役割を果たしていくようになるのです。

 

運営イメージとしては福祉施設に近い感覚です。働いている人たちはボランティアで、高齢者はそこで働くことで若い人たちと交流を持ったり、生きがいを見つけたりすることができます。また、利用者は地域のイベント情報を得たり、子育ての相談をしたりといった、世代を超えた教育のようなものができる、本を管理し、貸し出すという運営に留まらない様々な機能が期待できます。しかも、人々をつなぐことを、知的なもの──書籍に媒介させようという試みが民間図書館です。

 

登山の話のときにも出てきましたが、よく使われる言葉に「自助・共助・公助」があります。この民間図書館の仕組みは、自助や共助を盛り上げていくものです。

 

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    ※本連載は渡瀬裕哉氏の著書『無駄(規制)をやめたらいいことだらけ 令和の大減税と規制緩和』(ワニブックス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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    渡瀬 裕哉

    ワニブックス

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