経営者はだれでも、自身の会社を長く存続させたいと願っています。しかし、新型コロナの例をあげるまでもなく、企業の存続を脅かす危機はある日突然、そして何度もやってきます。北海道で運営していた小さな商店が、ピンチをチャンスに転換し続け、企業規模を拡大した例を取り上げながら、ビジネスにおける洞察と決断の重要性について見ていきます。

中小企業の平均寿命は「創業から20年」程度

「自分の会社は、あと何年続くだろうか」――経営者なら誰もが一度は会社の寿命を考えたことがあるはずです。東京商工リサーチのデータを見ると、2020年に倒産した企業の存続年数は平均23.3年でした。製造業は33.4年、情報通信産業は14.9年といった産業による差はありますが、創業から20年くらいが企業の平均寿命です。

 

経営者にとっての理想は、長きにわたり会社を存続させていくことですが、それを脅かすような大きな危機は突然やってきます。例えば、グローバル競争の激化により価格破壊が起きたり、消費者ニーズの変化で市場が急速に縮小する例はさまざまな業界で繰り返されてきました。

 

筆者は北海道にある創業74年を迎える豆菓子メーカーを営んでいます。戦後の混乱期だった1948年に筆者の父が乾物問屋として創業し、1984年に筆者が二代目に就任、バターピーナッツの製造を開始しました。バターピーナッツは会社の主力事業として着実に伸びていきました。しかし、逆風は吹くものです。筆者が会社を継いでまもなく、大きな危機が会社を襲いました。

 

中国からの安価な輸入品が増え、バターピーナッツは価格競争に巻き込まれ、売上はみるみるうちに激減していきました。そこで筆者は、主力商品だったバターピーナッツに変わる斬新な商品を作ろうと決意、当時はまだメジャーでなかったカシューナッツに目を付けました。カシューナッツは形状が特殊で菓子にするには高度な技術を必要とし、新しく高額な機械を導入しなくてはいけないことから、豆屋業界では誰も手を付けていませんでした。しかし、だからこそ筆者は、このカシューナッツを菓子にできたら他社が真似できない商品が生まれ、必ずヒットすると考えました。

 

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