(※画像はイメージです/PIXTA)

ただでさえややこしい相続手続き。国をまたいだ相続が発生すると、「どちらの国の法律に準拠すれば?」といった疑問が湧き出ます。日本と韓国の相続手続きについて、日本経営ウィル税理士法人の顧問税理士・親泊伸明氏が解説していく本連載。今回は、「遺産分割」について見ていきましょう。

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「遺産分割」基本的には“遺言”か“協議”にて行うが…

前回は単純承認、限定承認、相続放棄といった相続の方法について説明しました。

 

今回は、相続が発生した後に「遺産をどのようにわけるのか」を決定する遺産分割について、日本と韓国の違いを説明していきます。

 

■遺産分割の方法

 

遺産分割の方法は4つあります。①指定分割、②協議分割、③調停分割、④審判分割です。それぞれの内容は、[図表1]の通りです。

 

[図表1]

 

上記のうち、一般的なものは①指定分割と②協議分割です。

 

■指定分割

 

指定分割とは、被相続人が生前に作成した遺言書に基づいて遺産を分割することを言います。

 

遺言に遺産の分割方法の指定があれば法定相続人や法定相続分よりも優先されることとなるのです。なぜ優先されるのかについては、次回「遺言と遺留分」にて詳細に説明いたします。

 

■協議分割

 

協議分割を行う場合には、日本でも韓国でも、必ず相続人全員が参加して同意する必要があります。これは遺言書が遺されていない、または遺されていても分割についての具体的な指定がされていない場合などに行われます。

 

分割協議には法定相続人が全員参加しなければならないため、まずは相続人を確定する作業が必要です。

 

韓国民法に基づき相続手続きを行う場合で、代襲相続が発生しているときは、被代襲者の配偶者も相続人となります。その事実に気づかず、被代襲者の配偶者を除いて遺産分割協議を行った場合には、その遺産分割協議は無効となってしまいます。

 

さらに第1回でも紹介しましたが、在日韓国人の方の相続人を確定するためには、日本で相続人を確定する場合と同様、被相続人の出生から死亡時までの戸籍(除籍謄本)と家族関係登録簿を揃える必要があります。

 

戸籍と家族関係登録簿を揃えることで婚姻歴や子の有無などを把握することができるからです。

 

日本に帰化された方であれば、帰化した以後の日本の戸籍(除籍謄本)と出生から帰化するまでの韓国の戸籍(除籍謄本)や家族関係登録簿を揃えて相続人を確定させることになります。

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本稿は筆者が令和4年1月現在の情報に基づき、一般的な内容を簡潔に述べたものである為、その内容の正確性、完全性、最新性、信頼性、有用性、目的適合性を保証するものではございません。実際の判断等は個別事情により取り扱いが異なる場合がありますので、税理士、弁護士などの専門家にご相談の上ご判断下さい。

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