「ビデオ録画」での遺言も可能…日韓で異なる相続手続き【税理士が解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

ただでさえややこしい相続手続き。国をまたいだ相続が発生すると、「どちらの国の法律に準拠すれば?」といった疑問が湧き出ます。日本と韓国の相続手続きについて、日本経営ウィル税理士法人の顧問税理士・親泊伸明氏が解説していく本連載。今回は、「遺言」と「遺留分」についてみていきましょう。

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遺産争いを防ぐ「遺言書」…日韓での違いとは?

■はじめに

遺産分割の際に争いが起きないようにするため、遺言書を遺されることがよくあります。

 

今回は遺言と遺留分について、日本と韓国の違いを踏まえながら説明いたします。

 

■遺言の種類

遺言は日本においても韓国においてもそれぞれ厳格に方式が決められています。

 

遺言には、日本、韓国ともに普通方式と特別方式があります。

 

普通方式は①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言があります。日本ではこの3種類のみですが、韓国ではこれらに加え、④録音による遺言があります。

 

音声のみを保存する録音ではなく、ビデオ録画であっても、音声データが残っている場合には「録音による遺言」に該当します。

 

また、特別方式については日本では①危急時遺言、②隔絶地遺言があり、韓国では口授証書遺言があります。

 

[図表1]

 

■普通方式の遺言

普通方式遺言の方式は次の通りです。

 

[図表2]

 

遺言書の方式は日本でも韓国でも厳格に定められています。公正証書による遺言は検認手続が不要であることや自筆証書遺言はミスも多く形式を満たしていないこともあることから、通常は公正証書による遺言書をお勧めしています。

 

自筆証書遺言は日本でも韓国でも裁判所(法院)による検認が必要ですが、韓国の検認制度は日本と異なるため、自筆証書遺言により韓国財産の名義を変更するのは、実務的には困難です。

 

なお、日本の公証役場で作成した公正証書遺言書であって、法的には有効なものであったとしても、韓国の不動産登記法・会社法・銀行実務に関する情報や知識、翻訳の正確さが求められるため、実務上はリスクがあります。

 

例えば、不動産の個々の明細の記載がない公正証書遺言だけでは、韓国では相続登記はできず、補助的な書類の提出を求められることが多くあります。

 

さらに、その登記を管轄する登記所や担当する登記官によって、登記に必要な書類が異なるなどの問題もあります。

 

その為、韓国の財産が多い場合については、相続後の名義変更や登記のことも考えて、公正証書遺言書を作成しておくことが無難です。

 

■特別方式の遺言

特別方式の遺言は、日本民法でも韓国民法でも、普通方式の遺言書が作成できないような緊急時に作成されるものであるため通常は作成されることはありません。

 

日本の「危急時遺言」と韓国の「口授証書遺言」は疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った方が、証人の立会いの下、その証人に口頭で遺言内容を伝えるというものです。

 

なお、証人は日本では3人以上、韓国では2人以上の立会いが必要とされています。

 

また、日本法にある隔絶地遺言は、伝染病や船舶の遭難などにより、死亡の危急にある方がおこなうことができる遺言です。

 

日本法ではこれらの特別方式の遺言は、その遺言者が普通方式の遺言をおこなうことができるようになってから6ヵ月間生存する場合には、無効となります。

 

韓国法では、口授証書遺言を作成することとなった事由が終了した日から7日以内に裁判所にその検認を申請しなければならないとされています。

 

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    税理士、一級建築士、社会保険労務士、行政書士 

    日韓にまたがる相続につき実績があり、税理士を対象とした各種セミナーや、税理士会認定研修の講師も務める。

    日韓相続支援:https://nktax.or.jp/company/nikkan/

    専用電話:050-5330-1313  日本語・韓国語対応可 担当:李(イ)/崔(チェ・日本名・戸野)

    1956年 大阪市生まれ
    1977年 菱村総合税務会計事務所 入所
    1986年 税理士登録
    2002年 税理士法人関西合同事務所(社名変更:ウィル税理士法人)設立 代表社員税理士
    2017年 税理士法人日本経営とウィル税理士法人が合併、日本経営ウィル税理士法人となる 代表社員税理士
    2020年 同法人代表社員退任、同法人顧問に就任
    2020年 税理士親泊伸明事務所 開業

    著者紹介

    連載「在日韓国人の相続」なかなか聞けない“ほんとの話”

    本稿は筆者が令和4年1月現在の情報に基づき、一般的な内容を簡潔に述べたものである為、その内容の正確性、完全性、最新性、信頼性、有用性、目的適合性を保証するものではございません。実際の判断等は個別事情により取り扱いが異なる場合がありますので、税理士、弁護士などの専門家にご相談の上ご判断下さい。

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