日韓でこんなに違う…相続税の「課税方式」【税理士が解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

ただでさえややこしい相続手続き。国をまたいだ相続が発生すると、「どちらの国の法律に準拠すれば?」といった疑問が湧き出ます。日本経営ウィル税理士法人の顧問税理士・親泊伸明氏が、日本と韓国の課税方式について解説します。

日本と韓国における「相続税の意義」

■はじめに

 

今回は課税の方式について、日本と韓国の取扱の違いを説明いたします。

 

まずは、課税方式の違いの前提となる、日本と韓国における相続税の意義についてです。

 

■相続税の意義

 

相続税は亡くなられた方から相続又は遺贈により財産を受け取った場合に、その受け取った(相続した)財産に対して課税されます。

 

相続税の機能は2つあります。1つ目は「富の再分配機能」です。財産を多く持つ方の相続によりその財産がすべて親族内に留保されることとなった場合、貧富の格差が固定・拡大していきます。

 

そのため、相続した財産の一部を国に納め、国が社会事業、公共事業に使用することにより、富(財産)を再分配するという機能です。

 

2つ目は「所得課税の補完」です。亡くなられた方の生前における所得について、相続時に清算的に課税する機能です。

日本と韓国との間にある「相続税の考え方」の違い

■相続税の考え方の違い

 

日本と韓国とでは、相続税の機能そのものには差はありませんが、重点に置いている考え方が異なります。

 

日本では1つ目の機能、富の再分配機能に重点を置いています。そのため「遺産取得者課税方式」が採用されています。

 

韓国では2つ目の機能、所得課税の補完に重点を置いています。そのため「遺産課税方式」が採用されています。

 

■相続税の課税方法

 

世界各国の相続税を見ると、相続税の課税方式は2つに分かれています。①遺産取得者課税方式と②遺産課税方式の2つです。

 

①の遺産取得者課税方式は日本やドイツ、フランスなどの国で採用されています。②の遺産課税方式は韓国や台湾、アメリカ、イギリスなどの国で採用されています。

日本と韓国とでそれぞれ採用されている課税方式

■遺産取得者課税方式

 

日本でも採用されている「遺産取得者課税方式」ですが、この方式は、被相続人から財産を取得した方に対して、相続人個々がいくらの財産を相続したのかに着目して税額を決定する方式です。

 

この方式は偶然の富の増加・富の集中を抑制することを中心として考えられています。

 

■遺産課税方式

 

韓国でも採用されている「遺産課税方式」ですが、この方式は、被相続人が保有していた相続財産に対して課税する方法です。これは、遺産税としての意味合いを強く持っており、相続人の人数や相続の割合にかかわらず、被相続人の財産に着目して税額を決定する方式です。

 

この方式は被相続人の遺産に対して課税することで所得税の補完機能を通じて遺産を社会に還元することを中心として考えられています。

 

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税理士、一級建築士、社会保険労務士、行政書士 

日韓にまたがる相続につき実績があり、税理士を対象とした各種セミナーや、税理士会認定研修の講師も務める。

日韓相続支援:https://nktax.or.jp/company/nikkan/

専用電話:050-5330-1313  日本語・韓国語対応可 担当:李(イ)/崔(チェ・日本名・戸野)

1956年 大阪市生まれ
1977年 菱村総合税務会計事務所 入所
1986年 税理士登録
2002年 税理士法人関西合同事務所(社名変更:ウィル税理士法人)設立 代表社員税理士
2017年 税理士法人日本経営とウィル税理士法人が合併、日本経営ウィル税理士法人となる 代表社員税理士
2020年 同法人代表社員退任、同法人顧問に就任
2020年 税理士親泊伸明事務所 開業

著者紹介

連載「在日韓国人の相続」なかなか聞けない“ほんとの話”

本稿は筆者が令和4年1月現在の情報に基づき、一般的な内容を簡潔に述べたものである為、その内容の正確性、完全性、最新性、信頼性、有用性、目的適合性を保証するものではございません。実際の判断等は個別事情により取り扱いが異なる場合がありますので、税理士、弁護士などの専門家にご相談の上ご判断下さい。

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