(※画像はイメージです/PIXTA)

ただでさえややこしい相続手続き。国をまたいだ相続が発生すると、「どちらの国の法律に準拠すれば?」といった疑問が湧き出ます。ここでは、日本経営ウィル税理士法人の顧問税理士・親泊伸明氏が、日本と韓国の課税方式について解説していきます。

韓国の相続税特有の制度

■はじめに

 

前回の記事では「本来の相続財産」と「みなし相続財産」について説明いたしました。

 

今回は「生前贈与財産」と「推定相続財産」について説明いたします。

 

■生前贈与財産

 

日本でも韓国でも、亡くなる前に贈与された財産は相続税の計算上、課税価格に含めることとされています。

 

制度自体は同じようなものなのですが、対象となる年数に大きな差があります。

 

日本では相続又は遺贈により財産を取得した方に対し、相続開始前3年以内に行われた贈与に係る財産を課税価格に含めることとされています。

 

しかし韓国では、相続人に贈与されたものは相続開始前10年以内、相続人以外に贈与されたものは相続開始前5年以内に行われた贈与に係る財産を課税価格に含めることとされています。

 

日本では相続財産を取得しなければ3年以内の贈与であっても課税価格に含められないため、相続直前であっても相続人ではない親族、例えば孫などに財産を贈与するという対策があります。

 

しかし韓国では相続人でないものであっても、また、相続財産を取得していない場合でも、相続直前の贈与は生前贈与財産として課税価格に含められるということを認識したうえで贈与を行う必要があります。

 

■推定相続財産

 

推定相続財産は韓国の相続税特有の制度です。

 

亡くなられた方が相続開始日前に財産を処分、預金の引き出し、債務の負担をした場合にその資金の使途が不明な場合、その使途が不明な金額のうちの一定金額を相続財産であると推定して相続税が課されます。

 

「遺産取得者課税方式」を採用している日本の相続税法では、誰が相続したかを特定できないと課税ができませんが、韓国の相続税法では「遺産課税方式」を採用していますので、このような強行的な規定が設けられているものと考えられます。

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本稿は筆者が令和4年8月現在の情報に基づき、一般的な内容を簡潔に述べたものである為、その内容の正確性、完全性、最新性、信頼性、有用性、目的適合性を保証するものではございません。実際の判断等は個別事情により取り扱いが異なる場合がありますので、税理士、弁護士などの専門家にご相談の上ご判断下さい。

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