日本では、今日も各地で大規模な開発が進み、新たな建築物が建設されている一方、古くからの歴史ある建物が取り壊され、失われています。歴史ある建物は、保存だけではなく活用することで、地方創生にもつながる可能性があるのです。本記事では、歴史的建築物の再生・活用を中心に活躍する一級建築士の鈴木勇人氏が日本における「新築信仰」の背景について解説していきます。

新築を求める理由は、資金的な事情にもある

私自身も何度か「新築こそがすべて」というシーンに遭遇したことがあります。昔ながらの家に住む人たちから修復の相談を受けたときに見られるものですが「残したい」という親の世代の意向と「壊したい」という子の世代の意向が真っ向からぶつかり合うのです。

 

昔ながらの家というのは戦後の安普請の住宅ではなく、戦前からある家がほとんどです。日本の伝統的な建築技術が活かされ、造りとしてもしっかりとしています。ただ、やはり年月が経っているためにあちこちに傷みが生じてきて、修復しなければならないことも多々あります。

 

古い家はなにかと不便で非効率なことも多い、それなら最新鋭の設備を導入したまっさらな家のほうが毎日の暮らしも楽になるし、快適ではないか……という考えです。双方の意見の違いから親子げんかが始まってしまったこともありました。

 

子の世代の人たちが新築を求めるのは、費用的な事情も要因となっています。

 

新築であれば金融機関の住宅ローンも通りやすいのですが、古い家屋の修復となると建物自体に資産価値はないと判断されるため、融資を受けるのは難しくなります。必然的に自身の持ちだしによる負担が大きくなり「それなら新築しかない」ということになるわけです。

 

 

鈴木 勇人

ボーダレス総合計画事務所 代表取締役

 

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地方創生は古い建築物を見直せ

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鈴木 勇人

幻冬舎メディアコンサルティング

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