歴史ある建築物には、すでに途絶えてしまった技術や、貴重な素材なども含めた「文化的価値」があります。歴史的建築物の再生・活用を中心に活躍する一級建築士の鈴木勇人氏は、「このような建物の活用が、地方創生もつながる可能性がある」と、本記事で語っています。

古い建物に価値を見いだし、手を差し伸べる

建築物がもつ歴史的・文化的価値を受け継いでいくことの意義、そこに込められた伝統の技の継承、さらにはそこから派生する地域創生への活力など、古い建築物を残し、活用していくことにはたくさんの意味があります。その意味を今一度見つめ直してほしいというのが私の願いです。

 

とはいえ、日本人がすべての建築物に対して新しさの魅力を求めているわけではないことも確かな事実です。京都や奈良、鎌倉、金沢などを筆頭に古い町並みが残るエリアは日本全国にたくさんありますし、そうした景観を目当てに訪れる観光客も少なくありません。

 

また、ユネスコが認定する「世界遺産」に関して日本は23件の登録がありますが、そのうち19件が「文化遺産」です。

 

文化遺産とは「顕著な普遍的価値を有する、記念物、建築物群、遺跡、文化的景観など」を指します。例えば岐阜県・富山県の「白川郷・五箇山の合掌造り集落」や岩手県の「平泉」、群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」といったものが挙げられます。

新築信仰が根強い日本でも「リノベ」に注目が集まる

一方、特に若い世代の人たちの間で近年注目されているのが「リノベーション」です。築年数の古い住宅を安価で購入し、自分たちのライフスタイルにあわせて内装をつくり変えるというものですが、新築物件よりも資産価値としての目減りが少ないという特徴ももちます。

 

また、ロハス的な志向をもつ人たちが環境への負荷を軽減できる点でリノベーションを選択することも多いのも事実です。「ロハス」とは健康と環境、持続可能な社会生活を目指すライフスタイルのことを指します。マンションや一軒家をリノベーションする人もいれば、古民家を買い取ってリノベーションをする人もいます。日本人の新築信仰は根強く、まだまだ少数派ではあるものの、こうした動きも一方では起こっているわけです。

 

古い町並みに価値を見いだし、その景観が今後も続くように手を差し伸べる、あるいは自分の住む家を長く使えるように手を加えるという価値観が今以上に広がっていけば、日本はより文化的に豊かな国になると思いますし、それはさまざまな地域に活力をもたらすことにつながると私は考えています。

 

特に一人ひとりが「手を差し伸べる」ということは大切です。古い建築物を残していくことの責務を所有者だけに押し付けることはあまりに酷だからです。

 

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