「東京都心部Aクラスビル市場」の現況と見通し(2022年2月時点) (写真はイメージです/PIXTA)

東京都心部Aクラスビルの空室率は、テレワークの普及など先行き不透明感が広がるなか上昇基調で推移し3%台に達した一方、成約賃料は2014年第4四半期の水準まで下落しました。本記事ではニッセイ基礎研究所の吉田資氏が、今後のオフィス需要を踏まえた東京都心部Aクラスビル市場の動向と見通しについて解説します。※本記事は、ニッセイ基礎研究所のレポートを転載したものです。

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はじめに

東京都心部Aクラスビルの空室率は、テレワークの普及など先行き不透明感が広がるなか上昇基調で推移し、3%台に達した。成約賃料は、2014年第4四半期の水準まで下落した。本稿では、東京都心部Aクラスビル市場の動向を概観し、2026年までの賃料と空室率の予測を行う。

※ 本稿ではAクラスビルとして三幸エステートの定義を用いる。三幸エステートでは、エリア(都心5区主要オフィス地区とその他オフィス集積地域)から延床面積(1万坪以上)、基準階床面積(300坪以上)、築年数(15年以内)および設備などのガイドラインを満たすビルからAクラスビルを選定している。また、基準階床面積が200坪以上でAクラスビル以外のビルなどからガイドラインに従いBクラスビルを、同100坪以上200坪未満のビルからCクラスビルを設定している。詳細は三幸エステート「オフィスレントデータ2021」を参照のこと。なお、オフィスレント・インデックスは月坪当りの共益費を除く成約賃料。

東京都心Aクラスオフィス市場の現況

空室率および賃料の動向

 

東京都心部Aクラスビルの空室率は、2020年第4四半期以降、上昇基調で推移している。2021年第4四半期は、前期から小幅低下したものの3.2%(前期比▲0.1%)となり、2017年第2四半期以来となる3%台に達した。

 

Aクラスビルの成約賃料(オフィスレント・インデックス)は、2020年の大幅下落を経て、概ね横ばいで推移していたが、2021年第4四半期は30,696円(前期比▲12.1%、前年同期比▲11.5%)と2014年第4四半期の水準まで下落した[図表1]。
※ 三幸エステートとニッセイ基礎研究所が共同で開発した成約賃料に基づくオフィスマーケット指標。


リーシング活動が長期化したビルでは、賃料等を柔軟に調整しテナントの誘致を促進する動きもみられるようだ。

 

[図表1]都心部Aクラスビルの空室率と成約賃料

 

Bクラスビル及びCクラスビルでは、空室率は上昇傾向にあるものの、そのペースは鈍化している。2021年第4四半期の空室率は、Bクラスビルで4.3%(前期比±0.0%)、Cクラスビルで4.1%(前期比+0.1%)となった[図表2]。

 

[図表2]東京都心部の空室率


また、成約賃料は概ね横這いで推移している。2021年第4四半期の成約賃料は、Bクラスビルで20,188円(前期比+0.1%、前年同期比▲1.2%)、Cクラスビルで17,115円(前期比+3.4%、前年同期比+1.2%)となった[図表3、図表4]。

 

[図表3]東京都心部の成約賃料

 

[図表4]東京都心部の成約賃料(前年同期比)

 

賃料と空室率の関係を表した「賃料サイクル」をみると、東京オフィス市場は2020年第3四半期以降、「空室率上昇・賃料下落」の局面が継続している[図表5]。
※ 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。

 

[図表5]東京都心部Aクラスビルの循環図

 

オフィス市場の需給動向

 

三幸エステートによると、2021年下期の東京都心Aクラスビルの「賃貸可能面積」は、218.8万坪となり、半年前から▲7.1万坪減少した。テナントによる「賃貸面積」も、212.1万坪(前期比▲9.5万坪)に減少し、「賃貸可能面積」の減少を上回った。この結果、「空室面積」は6.8 万坪となり、+2.5万坪増加した[図表6、図表7]。

 

[図表6]東京都心Aクラスビルの賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積

 

[図表7]東京都心Aクラスビルの賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積の増減

 

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ニッセイ基礎研究所 主任研究員

2007年 住信基礎研究所(現三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所

著者紹介

連載ニッセイ基礎研究所レポート・インサイト

※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年2月21日に公開したレポートを転載したものです。

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