【関連記事】年収600万円男性が「家賃20万円タワマン」で激怒したワケ
これからは「タワマン差別化」の時代が始まる
駅前のタワマンが珍しい光景ではなくなりました。タワマンは、23区内に417棟、東京都内に458棟、首都圏(1都3県)では760棟、全国では1427棟あるそうです。
23区内に都内のほとんど(約91%)のタワマンがあります(2021年時点・東京カンテイ調べ)。さらに、計画段階も含めると、今年(2022年)以降、首都圏で145棟供給されるそうです(不動産経済研究所調べ)。
これから、23区内のタワマンが500棟になろうとする時代を迎え、タワマンの差別化が始まりそうです。
では、ここまで乱立するタワマンの「資産価値」はどこにあるのでしょうか?
タワマンの資産価値に重要な「4つ」のこと
その1.利便性の高さ
やはり最寄り駅への近さ、周辺施設への便利さが資産価値の大きな要素になると考えます。
最寄り駅への距離は、防犯面での心理的負担を左右します。コロナ禍でリモートワークが普及し、都心への通勤の利便性は低くなったとはいえ、通勤や通学、買い物、日常生活すべてにおける利便性は、資産価値に影響しています。
その2.ネームバリューがある
「○○駅の△△タワーね」と認知されるようなランドマーク的存在であること。そもそも、タワマンは他の建物より高いため目立っています。そこに、知名度が加われば、資産価値の一部になります。
その3.「管理」が行き届いているか
次に、ハードとソフトの管理が行き届いていること。建物の補修繕が小まめに行われていることや清掃がきちんと行われていること、また、コンシェルジュや管理室などの雰囲気も、コミュニティづくりにとって重要な要素です。
さらに、マンション管理会社が管理したい物件であること。たくさんのマンションを管理している管理会社としても、タワマンは事業を展開するうえでひとつのアピールポイントになります。
そして、タワマンに限らず、1戸の住戸は町内会の1会員です。会費をまとめて町内会に支払い、その金額は年間数百万円になります。マンションの住民が直接町内会の行事に参加する機会はほとんどありません。
しかし、災害時の行政からの援助は町内会単位になりますので、町内会との関係も資産価値へ影響していると考えます。
その4.理事会が機能しているか
まず、日常の管理は委託先の管理会社が行います。しかし、トラブルや住民からの意見への対応など、管理上の意思決定は理事会が行わなければなりません。
意思決定がなければ管理会社は動けません。ちなみに、出席者の定数が足りないため、理事会や総会を開催できない組合もあるようです。理事会の機能不全は資産価値を下げる大きな要因です。
理事会の活動状況を知るには、「理事会議事録」の閲覧しかなく、組合員(所有者)の資格が閲覧で必要になります。
次に、「マンションは管理を買え」といわれてきましたが、いままで管理の状態を判断する基準はありませんでした。
しかし、国交省は、2022年(令4)4月から管理組合がマンションを適正に管理しているかどうかを判定する基準として「マンション管理認定制度」を導入します。この認定制度でマンションの管理状態がわかるようになり、ランク付けされます。
保険会社は、この制度のランクを保険料に反映させるそうです。これから、認定制度のランクが売買価格や賃貸料へ影響をおよぼすと考えます。
認定の申請は理事会が行いますので、理事会と管理会社の力が試されます。この制度は任意ですが、これから差別化のひとつとして活用されていくでしょう。