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1…はじめに
新型コロナウイルスの感染拡大がはじまってから、2年が経過した。2020年春にパンデミックとなって以降、何回か感染拡大の波が襲来し、緊急事態宣言の発令等の対処がとられてきた。ウイルスは、変異を続け、感染力を高めてきた。特に、オミクロン型の変異ウイルスの感染力は強く、2022年2月には、1日の新規感染者数が10万人超と過去最多を更新している。
そんななか、昨年12月に総務省消防庁は、「令和3年版 救急・救助の現況」*1を公表した。これは、2020年の救急搬送の状況を統計にまとめたものだ。今回の内容は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時期を含んでおり、随所にその影響があらわれている。本稿では、この資料をもとに、コロナ禍で救急搬送がどう影響を受けたのか、みていくこととしたい。
*1:資料は、総務省消防庁のホームページ(https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/post-3.html)に掲載されている。
2…「救急・救助の状況」について
まず、公表された資料の特徴について簡単にみておこう。
1.資料は、救急編、救助編、航空編に分かれている
この資料は、救急編、救助編、航空編の3つに大きく分かれている。救急編は、救急車等での患者の搬送。救助編は、火災や事故での被災者の救助。航空編は、消防防災ヘリコプターでの救急搬送や救助活動が、主な内容となっている。本稿では、主に、救急編をみていく。
資料内容は、全国の消防本部で行われた救急・救助活動を、消防庁がまとめたものとなっている。
2.資料中、「新型コロナウイルス感染症」の記載は1ヵ所だけ
この資料は、毎年、所定の項目をまとめている基礎資料だ。そのときどきのトピックスを選んで、それを深掘りするといった形式ではない。今回の資料で、「新型コロナウイルス感染症」という用語が使われているのは、「はじめに」のなかの1ヵ所だけとなっている。だが、資料中には、コロナ禍の影響がさまざまなデータとしてあらわれている。以下、筆者の解釈を織り込みつつ、みていきたい*2。
2 本稿では、筆者の解釈の部分を、{ }内に表示する。