(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症は進行性の疾患であり、発症すれば一生付き合っていかなくてはならない病気です。認知症のなかでも多くを占めるアルツハイマー病について、進行を遅らせる薬の開発は進められていますが、根治を目指せる治療法は現代医学をもってしても確立されていません。そのこともあって、国レベルで深刻な問題といっていいでしょう。認知症の患者数が右肩上がりとなっている今、日本が直面する「認知症の現状」について、認知症の専門医・旭俊臣医師が解説します。

なぜ「隠れ認知症」がこれほど深刻化しているのか?

認知症に限らずいかなる病気でも早期発見・早期受診は鉄則といえるでしょう。とりわけ認知症は、早期に必要な医療やケアを受けることで、本人にとっても家族にとっても心身ともに負担が減ることは明白です。

 

それにもかかわらず、隠れ認知症の存在が看過できないほど大きくなってしまっているのは、なぜでしょうか。

 

端的に言うならば、受診が遅れることが最も大きな理由になりますが、それではなぜ、受診が遅れるのかといえば、そこにはいくつかの理由が考えられます。

 

受診が遅れる背景には、

●認知症の正しい知識がなく、軽度では本人も家族も認知症と気づかない

●認知症かも? と思っても認知症と診断されたくないために、病院を避ける

という大きく分けてこの2点が考えられます。

 

〈認知症の正しい知識がないことによる誤解〉

●年をとれば誰でも忘れっぽくなるから、病気ではない

●認知症というのは物事を覚えられないとか、家族の名前を忘れてしまうとか記憶障害が起こる病気

●24時間365日ずっと症状が現れているわけではない。普通に受け答えができることもあるから認知症ではない

●多少忘れっぽく、受け答えがおかしいなと思うこともあるが、饒舌なので頭ははっきりしているはず

 

〈認知症だと診断されたくないという思い〉

●認知症はどうせ治らないから、受診しても無駄

●診断されたら本人がショックを受けて、余計に症状がひどくなりそう

●親戚や近所に、認知症であることを知られたくない

 

いずれも、言われてみればそういう状況はあり得ると頷ける事柄ではないでしょうか。そういえばうちも…と思い当たるのなら要注意です。

 

 

旭俊臣

旭神経内科リハビリテーション病院 院長

日本神経学会認定神経内科専門医

日本老年精神医学会専門医

日本認知症学会専門医

 

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※本連載は、旭俊臣氏の著書『増補改訂版 早期発見+早期ケアで怖くない隠れ認知症』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

増補改訂版 早期発見+早期ケアで怖くない隠れ認知症

増補改訂版 早期発見+早期ケアで怖くない隠れ認知症

旭 俊臣

幻冬舎メディアコンサルティング

近年、日本では高齢化に伴って認知症患者が増えています。罹患を疑われる高齢者やその家族の間では進行防止や早期のケアに対する関心も高まっていますが、本人の自覚もなく、家族も気づいていない「隠れ認知症」についてはあま…

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