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日本の認知症患者数、2025年には700万人超と推計
高齢化が急速に進み、いまや世界に類をみない長寿国と呼ばれている日本。人生90年ともいわれ、第二、第三の人生を歩む人も少なくないなかで、健康問題は常にその計画を阻む障壁となります。
特に深刻化しているのが、認知症の増加です。
2015年に厚生労働省が発表した「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」のなかで、認知症の推定患者数は全国で約460万人超。2025年には700万人を超えるとの試算も出されています。実に、約10年で1.5倍にも増える見通しです(図表1)。
2025年といえば団塊の世代が75歳以上になる年。まさに日本が高齢化のピークを迎える年です。それまでせっかく懸命に働いてきて、いざゆっくりと老後を過ごしたいと思っても、認知症になってしまうと本人だけではなく家族の人生設計にも暗い影を落とします。
周知のとおり、日本は高齢化に加え少子化による諸問題も抱えています。老老介護も決して珍しい状況ではなくなっています。ほかの介護を必要とする疾患と同様、またはそれ以上に、認知症の人を介護する家族への負担は多大なものとなります。どんなに長寿であっても、本人らしい生き方ができず、周囲を巻き込み疲弊させる状態では、残念ですが幸せとは言いがたいでしょう。
新オレンジプランは、正式には認知症施策推進総合戦略といい、「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会」を実現することを目的に策定されています。これをもとに地域の医療・サポート体制は整いつつありますが、認知症患者数の増加そのものに歯止めをかけるものではありません。世界屈指の長寿国が、かたや認知症大国との異名をとるのも時間の問題であり、私はこの状況に不安感をもっています。