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子どもに塾が本当に必要か、親子で考えてみる
■高校受験は教科書の範囲
高校入試は、中学の教科書の全範囲から出題されます。最難関と呼ばれる私立高校の場合、入試に学校の先生が教えない内容が入ることもありますが、一般的な高校受験は、教科書の範囲内です。ということは、教科書で教わる範囲を勉強すればよいわけです。まず子どもたちはみな、学校の授業でその学習をしています。次に、塾でやるのか、自分でやるのかです。
本来、勉強するという知的行為は、自ら進んで行うものです。学校で受けた授業を自分に取り込む作業は、学習の大チャンス。これを塾に丸投げしてしまうのはもったいない! と思います。授業がだいたいわかる子どもはなおさら。塾から与えられた学習課題をこなして勉強するよりも、何を使ってどう勉強するのか、自分で考えて勉強するほうが断然、身につくことが多いでしょう。
受験も同じことがいえます。塾任せで用意されたレール上を走り合格するのと、自ら計画を立て、必要な学習を探しながら勉強し合格するのでは、その中身が違います。「成長」という意味合いにおいて、天と地ほどの差があるのです。ただし、最難関の私立高校の場合は、学校で教わらないことが出題されますから、ここに塾が必要な理由があります。
塾なし受験に必要なモノは、
①親のサポート、②親子のコミュニケーション、③家族の協力、④学校との連携、です。
主役は子どもで、親はサポーターです。親子でコミュニケーションを密にとりながら、計画を立て、作戦を考え実行します。途中で話し合い、計画や作戦を見直し、また実行していきます。これを繰り返しながら、「志望校合格」というゴールを目指します。息子が達成できたように、中学校の学習をもとにした一般的な高校受験なら、自力で合格することが不可能というわけではないのです。
塾なし受験は、塾に任せている部分を親子で行います。塾に任せればお金はかかるが、手間はかからず楽かもしれません。それでも塾なし受験のメリットは、経済的なことだけではありません。子どもの成長、家族の強まり、子育ての経験など、塾任せの受験では得られないたくさんのメリットがついてきます。
我が子にとって、本当に塾が必要なのか、そのこと自体を考えてみたことがありますか?
当たり前のように、なんとなく塾にいかせていませんか?
我が子に塾が本当に必要かどうか、親子で考えてみることが第一歩です。「塾にいきたい」と自ら希望する子どもばかりではないでしょう。「いきたい」と、「いかせたい」もしくは「いきなさい」は、根本的に違います。保護者の言うことを聞いて、塾に通っている子も多いでしょう。
私たち自身、塾なし受験の途中、不安を感じた日もありましたが、それは塾ありでも塾なしでも同じこと。最後まで塾にいかず自宅学習するという志を貫き、息子は第一志望校合格という結果を出しました。そして、「私たちの1年足らずを実践すれば、同じく塾に通わず受験を乗り越えられる子が日本には少なからずいる」と考え、この経験を伝えるために筆を執りました。
コロナ不況で、家計を切り詰めなければならないご家庭が増えたかもしれません。教育費は家計の「聖域」といわれますが、その聖域の中で、大きな負担を占める塾代は、もしかすると、本当は我が子にかけるべきお金ではないかもしれないのです。塾なし受験をすれば、塾代を稼ぐために働くという必要はなくなります。
「いい大学に入って就職する=理想の幸せ」という親世代の価値観はすでに揺らいでいます。子どもたちの未来の幸せはどうなっていくのでしょう。今後は、成功や幸せのかたち、生き方など、今まで理想とされてきたことが、大きく変わっていく可能性が高いと思います。