(※写真はイメージです/PIXTA)

「生活保護受給者で要介護3以上の入居者が欲しい」――。多くの低価格帯の老人ホーム運営業者はこう本音をもらします。それはなぜでしょうか。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者の小嶋勝利氏が著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)で、老人ホームが歓迎する入居者の条件を解説します。

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親の老人ホームを適当に決める子どもたち

多くの子世代は、短時間で雑に、適当に親の老人ホームを決めてしまいます。時間軸でいうと、老人ホームを探す行動に着手した時点から最長でも3カ月です。多くは1カ月程度で決めてしまいます。ここで自覚しなければならないことは、何も知らないことを1カ月程度で決めてしまうということです。

 

よく考えてみてください。たとえば自宅を購入したり、借りたりするのとはわけが違います。自宅の場合、多くの人は、生まれてから今に至るまで、何らかの方法で「家」に住んでいます。

 

つまり、「家」に住むという行為は、継続して経験、体験している行為です。だから短期間で決めても問題はありません。なにしろ、熟知していることですから。

 

しかし、老人ホームに住んだことのある子世代は皆無です。入居予定者の親の場合でも、そのほとんどは皆無です。まれに、今住んでいる老人ホームから他の老人ホームに引っ越しを希望するケースもありますが、現時点では、レアケースです。

 

みなさんは、未経験、未体験のことを1カ月程度で決めてしまう事実に対し、危うさを感じませんか? もちろん、中には、用意周到、徹底的なリサーチのもと、抜かりなく入居をさせている子世代もいなくはありませんが、あまりお目にかかるケースではありません。

 

そして、多くの場合、入居させたことに対し、後悔と憤り、そして〝こんなはずではなかった〟という違和感を持ちながら、日々生活を送っているのです。

 

私の経験上、親と子供の関係上でベストな方法は、老人ホームに入居させた以上、ホーム側に全面的に「任せる」ということが、結果として、関係者全員にとって、良いように思えます。つまり、老人ホームに対し「性善説」で対応するということです。ただし、この場合は、入居前にしっかりと老人ホームに対するリサーチが必要になるということになりますが……。

 

老人ホームに親を入居させ、身元引受人になった子世代は、この瞬間からある意味、親の保護者になります。老人ホーム内で起きた出来事に対し、報告を受ける権利を有し、疑念があれば回答を求めることができます。

 

幼稚園や小学校と同じです。毎年、運営懇談会と称する保護者会が開催され、会社やホームの運営方針の説明を受けたり、ホーム側に要望を出したりと、会社の株主総会や国会の委員会活動のようなイメージです。ある意味、民主的な運営をしていると思いますが、人によっては「煩わずらわしい」「めんどうくさい」と感じる人も少なくありません。

 

ちなみに、このような運営会議への家族の参加率は、高級ホームと言われているホームのほうが、家族の参加率は高いように思います。私の考えでは、高級ホームでは、運営懇談会に参加すること自体が、子供世代にとって親に対する忠義忠誠の証のようなものなので、参加することも仕事のうちだ、ということだと考えます。

 

さらに、こうも考えられます。身元保証人である自分が、ホーム運営について〝気にしている〟ということをホーム側に自覚させることで、ホーム側が自分の親を軽視できなくなる、ということなのでしょう。まったくその通りです。ホーム長や介護職員からすると、毎回、欠かさず運営懇談会に参加し、意見を言う家族は、当然、目にとめています。いわゆる「モノ言う株主ならぬ、モノ言う家族」というやつです。

 

理解がしやすいように、次のような話を記しておきますので、みなさんもご自身でよく考えてみてください。

 

次ページ歓迎される理由は「うるさい家族がいないから」

※本連載は小嶋勝利氏の著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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