同じ「おひとり様」でも…家族がいた場合のほうが悲惨なワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

最初からおひとり様という人の場合と、もともと家族がいた高齢者が、家族を失った場合とでは、その覚悟の違い、家族への執着が違います。また一人で強く生きていくことができないのではないでしょうか。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者の小嶋勝利氏が著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)で、おひとり様が抱える問題点を解説します。

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物わかりの良い高齢者もいるけれど……

世の中には、物わかりの良い高齢者も存在しています。彼らは、「子供たちに迷惑をかけたくないから老人ホームに入居した」と言います。私の肌感覚で言うと、多くの老人ホームの自立系と言われている入居者の多くは、このようなことを口にしています。

 

しかし、その多くは本心だとは思えません。むしろ、物わかりの良い親を演じ、子供との関係性を壊したくない、と思っているだけです。「良い親でなければ、子供たちから嫌われる。というよりも、子供たちから捨てられる」という発想は、いったいどこからきているのでしょうか? 私は、次のような心理が働いているからだと、推察しています。

 

よく言われる話ですが、高齢者は「失う経験の実践者」です。高齢になればなるほど、多くのものを高齢者は失っていきます。視力や聴力、そして体力などの身体的な機能にはじまり、友人、知人が「死」という理由でいなくなっていきます。さらに、仕事がないため、収入は年金だけになるので、当然、預貯金も無くなっていきます。

 

失う経験の実践者にとって、「家族を失う」「子供を失う」ということは、できることなら避けたい話です。だから、子供とは死ぬまで、人によっては死んでからも、友好的な関係性を継続したい、ということなのだと思います。もちろん、自分が死んだ場合、その後始末を子供に託さなければならない、という現実的な要因も、大いに影響していると推察します。

 

「おひとり様」というキーワードをよく耳にしますが、この「おひとり様」とは、これらのしがらみに対し、違う価値観で対抗することで、一人の気楽さを楽しむことだと私は理解しています。しかし、私は、初めから一人の人とは違って、家族を形成し、家族とともに暮らしながら、途中で失う経験の実践者として高齢期を迎えた人は、おひとり様になったとしても、一人で強く生きていくことはできないのではないかと考えます。

 

ただし、女性は強いと思います。ある調査によると、妻を亡なくした男性の多くは3年以内に死んでいるそうです。逆に、夫を亡くした女性は、長生きをしているそうです。

 

株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

(株)ASFON TRUST NETWORK常務取締役。1965年神奈川県生まれ。日本大学卒業後、不動産開発会社勤務を経て日本シルバーサービスに入社。介護付き有料老人ホーム「桜湯園」で介護職、施設長、施設開発企画業務に従事する。2006年に退職後、同社の元社員らと有料老人ホームのコンサルティング会社ASFONを設立。2010年、有料老人ホーム等の紹介センター大手「みんかい」をグループ化し、入居者ニーズに合った老人ホームの紹介に加えて、首都圏を中心に複数のホームで運営コンサルティングを行っている。老人ホームの現状と課題を知り尽くし、数多くの講演を通じて、施設の真の姿を伝え続けている。

著者紹介

連載失敗しない「老人ホーム選び」の鉄則

※本連載は小嶋勝利氏の著書『間違いだらけの老人ホーム選び』(プレジデント社刊)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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