(※画像はイメージです/PIXTA)

障がい者グループホームに関心があり事業開始を検討したい場合、どのように進めていけばいいかを説明します。

融資・資金関連の手続きと管理

③融資打診

資金に余裕があったり、現在営んでいる事業が好調で決算書に問題がなかったりする場合はいいのですが、そうでないケースもままあります。

 

確実に融資を取り付けられるという確証がない場合は、金融機関に対して早めに融資打診をしておくほうが安全です。特に投資家の場合、金融機関による不動産業への不正融資が相次いで発覚したことで審査が厳しくなり、融資が下りにくくなっているので注意が必要です。

 

建設会社も決まり、運営事業者もやる気になり、賃貸借契約書を交わすところまで進んだにもかかわらず、結果として「融資が下りなかった」では、投資家にとっても建設会社にとっても運営事業者にとっても時間と労力の無駄になってしまいます。

 

筆者の会社ではそうしたリスクを避けるために、融資グレーゾーンのクライアントの場合、かなり早い段階から銀行に対して融資打診を行っています。「このくらいの土地の規模を購入し、こういう事業を考えているのですがどうでしょうか」と相談に行くのです。

 

●銀行のチェックポイント

 

銀行側が最も気にしているのは「事業計画が現実に即したもので、ちゃんと返済できるかどうか」です。

 

銀行は、レオパレス21やかぼちゃの馬車の二の舞になることを最も警戒しています。そのため、あのような実態の伴わない事業ではないことを分かってもらうことが大切です。サブリースの物件であれば、実際にグループホームを運営していく運営事業者の母体がどれくらい安定しているかというあたりは、かなり厳しく審査されます。

 

また、福祉事業者が自社でグループホーム事業を行う場合は、借入金がいくらあるか、代表者がもっている自宅の土地を担保に差し出せるのかというあたりがチェックポイントになります。結局のところ、取りはぐれが怖いので担保能力が問題ということです。 なお、融資打診と同時に図面の作成にも取りかかります。

 

④建設会社からの運営収支・資金収支の提案

金融機関への融資打診と密接に関わるのが、建設会社が作成してクライアントに提案する運営収支と資金収支です。

 

ここは建設会社の腕の見せ所でもあります。というのも、運営収支・資金収支といった必要な資料をどれくらいしっかり作りこめるかで、融資の可否が左右されるからです。クライアントである投資家や福祉事業者の担保能力がどれくらいか、説得力のある説明ができるかどうかは、そこにかかっているといっても過言ではありません。

 

運営収支は、主にグループホームの運営を自社で行う運営事業者向けの資料になります。障がい支援区分の違う人が複数いる場合、人員配置がどうなるかということと、その場合の総収入と支出を分かりやすく表にしたものです。

 

資金収支は運営収支のうち、お金の流れにスポットを当てたもので、サブリースとしてこの事業を行う投資家・自社運営する運営事業者両者に向けての資料です。この事業を通じてお金がどれだけ入ってきてどれくらい出るのか、金融機関への返済額はどれくらいで手元にいくらお金が残り、利回りは何パーセントなのかが分かる資料となります。

 

これを綿密に作ることが非常に重要だと私たちは考えています。

 

障がい者グループホームの建設・運営は大きなお金が動くことなので、投資家も運営事業者もそう簡単に事業開始を決意できるものではありません。数字をきっちり出すことで「これなら大丈夫!」と確信をもつことができるのです。

 

また、金融機関に融資打診をする武器にもなります。実際に私たちが作った運営収支・資金収支の資料は銀行の担当者の方々から「ここまでしっかり作られた資料は見たことがない」とよく言われます。

 

 

岩崎 弥一
アルカスコーポレーション株式会社 代表取締役
南砺市商工会 副会長

 

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