(※画像はイメージです/PIXTA)

「グループホームを建てて運営事業者に貸す」ビジネスを展開する企業が、蓄積したノウハウを活用し、自ら障がい者福祉施設の開設実現を目指すことになりました。ここでは、グループホームの建設地の町内会長への説明というプロセスについて、実際の対話をもとに解説していきます。

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町内会長への挨拶と近隣説明会

障がい者福祉施設事業への参入にあたり、行政への相談や金融機関への融資打診、社内の有資格者の確保といったプロセスを踏む必要がありますが、それ以外にも、建設地への町内会や地域の人々への理解を得るといった、地道な作業が求められます。

 

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着工準備と並行して、グループホームの建設地の町内会長に「今度、この地域にこういう施設を建設します」と挨拶に行きました。

 

できればこのとき町内会長から了承をもらい、地域の住民の方々には事後承諾という形で町内会長から「こういう施設ができることになりました」と説明してもらって終わらせたかったのですが、実際にはそうはなりませんでした。町内会長から近隣説明会を求められたからです。

 

そうした説明会では誰か一人が反対意見を述べ始めると、我も我もと同調する人が出てきて収拾がつかなくなりがちです。時勢として、新型コロナウイルスに配慮が必要だったこともあり、過去事例からも「近隣説明会は開催しないことも十分あり得る」という私たちの願いははかなく崩れ去り、近隣説明会を行うこととなりました。1回では終わらず、2回開催することになったのです。

大切な施設なのはわかるが…人々が感じる「不安」

1回目の説明会への参加者は8人で男性が多かったです。最初はこちらの説明を黙って聞いてくれていたのですが、一人が「自分は反対だ」と口火を切ったとたん、「自分もそうだ」という人がどんどん出てきて最終的にあちらのペースになってしまいました。

 

先方の懸念材料は、集約すると「精神障がいや知的障がいのある人たちが集団で住む場所ができるのが不安だ。管理はどうなるんだ」というものでした。障がいのある人を差別するのはいけないことだし、障がい者グループホームが世の中に必要だということも理解できる、でも自分の家の近くにはできてほしくない、というわけです。

 

私たちが想定していたとおりの意見ですが、これに対してその場では明確な回答はせずに持ち帰りにさせてもらいました。

 

そもそもグループホームは障がいのある方たちの自立を支援するものであり、障がい者の方々の人権に配慮したうえでつくられるものです。そのため「管理する」という考え方自体がおかしい、というのが私たちの本音です。夜間の人員配置も必要ないくらいですが、それを言ってしまうと火に油を注ぐような状態になるのは目に見えているので、さすがに控えました。

 

実際のところ夜間に入居者の方々だけになったとき、トラブルが起こる可能性が否定できないので、あえて当直をおくことにしています。

 

また入居者の方々の支援(町内会の皆さんの言うところの「管理」に該当します)の内容については、実際に入居した方々の個々の状況・状態に合わせて支援計画が組まれることになるので、現段階では明言できない旨、お話ししました。

 

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岩崎 弥一

幻冬舎メディアコンサルティング

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