入院中の父親が「家に戻りたい」と言っていることから、息子は計380万円のリフォームを決心。しかしそれが破綻を招くことになろうとは……のぞみ総合事務所代表司法書士の岡信太郎氏が、実際のエピソードをもとに解説します。

「成年後見人?」父の代わりに銀行を訪れた息子の後悔

リフォーム会社から請求書が届いたので、父親の通帳と印鑑を持って銀行に支払いに行くことにしました。これまでも入院費をATMで振込んでいたのですが、今回は金額が大きいため窓口での支払いとなります。

 

番号札を取り、呼ばれるのを待ちました。そして、木戸さんの番号が呼ばれ窓口に通帳を提出しました。すると、窓口の担当者から、「お振込みですね。免許証などの本人確認資料のご提示をお願いしてもよろしいでしょうか?」と本人確認資料の提示を求められました。

 

そこで、財布から自分の免許証を取り出し、担当者に渡しました。「木戸様ですね……。あれ、お名前が違いますが?」「通帳は父のもので、私は息子です」「窓口でお手続きをされる場合は、口座名義人ご本人にご来店して頂く必要があります」と言われてしまいました。

 

「父は、身体が不自由で銀行まで来ることができません。それに、脳梗塞の後遺症で認知症もあり、字を書いたりはっきりとした金額を伝えたりするのは難しいです。それで、息子の私が来ているのですよ」と伝え、リフォームの請求書を見せようと思った矢先、

 

「口座名義人の方が認知症と判明した場合、お客様のご預金をお守りするため、お取引を停止させて頂くことがあります。ご本人様が詐欺などのトラブルに巻き込まれてしまうのを防止するためです。ところで、成年後見人は利用しておられませんか?」

 

〝詐欺?成年後見人?〞木戸さんは突然の聞き慣れない言葉に、何がなんだかさっぱり分かりません。まして、自分の親に後見人をつけることなど理解できません。

 

「利用していないですけど……」と答えると、担当者から「上席の者に確認致しますので、後ろでしばらくお待ち頂けますか?」と、一度後ろの座席に戻るよう促されてしまったのです。

 

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本記事は、岡信太郎氏の著書『財産消滅~老後の過酷な現実と財産を守る10の対策~』(ポプラ社)から一部を抜粋し、再編集したものです。
※登場人物は全て架空の人物であり、守秘義務に反しないようにストーリーを展開しています。

財産消滅 老後の過酷な現実と財産を守る10の対策

財産消滅 老後の過酷な現実と財産を守る10の対策

岡 信太郎

ポプラ社

5年後には「65歳以上の5人に一人が認知症を発症する」といわれている昨今の超高齢社会。認知症は介護などの生活面だけではなく、資産運用や契約など財産面にも大きな影響を与えます。 多くの認知症患者の成年後後見人として…

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