入院中の父親が「家に戻りたい」と言っていることから、息子は計380万円のリフォームを決心。しかしそれが破綻を招くことになろうとは……のぞみ総合事務所代表司法書士の岡信太郎氏が、実際のエピソードをもとに解説します。

「父親孝行」が自分たちの生活を脅かす結果に

木戸さんは、〝しまった!〞と思わず声が出そうになりました。

 

確かに、相続のときに葬式代が引き出せないことがあるとは聞いたことがありました。しかしながら、親が健在な場合にまで凍結の可能性があったとは寝耳に水です。父親の代わりに支払いをしようとしただけで、まさかこんなことになるとは思ってもみなかったのです。

 

もし凍結でもされたら、家族が父親の生活費や介護費を本人の口座から支出することができなくなってしまうではありませんか。ごく稀に、家族が立て替えることはあります。しかし、あくまで少額の場合だけです。

 

今回のように大きなおカネまで立て替えるわけにはいきません。立て替えてしまうと今度は自分たちの生活が成り立たなくなります。木戸さんの子どもは大学生のため、今は教育費におカネがかかっているのです。

 

この先どんな末路となるのか、リフォームの請求書を見ながら〝しまった!〞と何度も心の中で叫びました。 

 

 

岡 信太郎

司法書士のぞみ総合事務所

代表司法書士

 

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本記事は、岡信太郎氏の著書『財産消滅~老後の過酷な現実と財産を守る10の対策~』(ポプラ社)から一部を抜粋し、再編集したものです。
※登場人物は全て架空の人物であり、守秘義務に反しないようにストーリーを展開しています。

財産消滅 老後の過酷な現実と財産を守る10の対策

財産消滅 老後の過酷な現実と財産を守る10の対策

岡 信太郎

ポプラ社

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