「意思確認」できず…“資産があるのに払えない”状況に
息子は、父親がアパート経営を続けていくことは難しいだろうと考えています。アパートの大規模修繕あるいは建て替えの話になったときに、とても対応できる状態ではありません。それよりむしろ、支払いに追われる状態から抜け出すことが先決です。
今の内に売却して、売った資金を元手に栄養管理が行き届いた施設に移った方が本人のためではないか、という思いを強くしています。
不動産会社に確認したところ、現段階であれば買い手は見つかるだろうとのことでした。残っている借り入れを返済しても、手元に現金が残るとシミュレーションしてくれました。そこから、これまでの滞納分に充てることができます。
とはいえ、一時的にまとまった現金が入ったとしても、本人が先を見据えながら生活できるかどうかとても不安です。息子が不動産売却の話をすると、「車を買いたい」と言い出す始末です。支払いのことなど、頭にありません。売却できたとしても気持ちが大きくなり、将来のことを見通せず飲み代などに使ってしまう可能性があります。
不動産会社の担当者からは、「本人の意思をはっきり確認できないためすぐに売却することはできない」と言われてしまいました。実際、担当医からも脳の萎縮が進んでいて、重要な財産に関することについて理解するのは難しいと診断されています。
本人に面会すると、「金を貸してくれ」と酒代をせがんできます。通帳には、ほとんど資金が残っていないため、正直本人に渡すようなおカネはありません。
保有資産があるのに支払いばかり増えていく現状に、息子は戸惑いや動揺を隠せません。
岡 信太郎
司法書士のぞみ総合事務所
代表司法書士
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】