(※写真はイメージです/PIXTA)

多様化が進む現代では、たとえ専門性の高いチームであっても、連携していかないと成果を出すのが難しくなっています。チームとして成果を出し、目標達成する可能性を高めるためのチームマネジメントを見ていきましょう。

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「チームパフォーマンス」とは何か?

チームパフォーマンスと聞くと「会議が活気にあふれている」「みんな仲が良い」「スキルの高い個人の集団」といったイメージでとらえる人が多いのですが、本稿でいうチームパフォーマンスとは、「チームが売上や開発の目標といった実現すべき成果に影響を与えるメンバーの主体的行動の総和」です。

 

会社の経営戦略が間違っていたら業績は悪くなります。しかし経営戦略がいくら正しくても行動がなければ成果は出ません。実行の質と徹底度、言い換えるとより良く実行することとやると決めたことをやりきることが大切です。チームパフォーマンスを向上させることでこの実行の質と徹底度を高めることができます。向上させても業績が上がらないのであれば経営戦略に問題があるのかもしれませんし、景気や業界動向など外部環境に原因があると考えられます。

 

一概にはいえませんが、一般に業績が悪いときには経営戦略かチームパフォーマンスのどちらかに問題があることになりますが、経営戦略の良し悪しを測定するのはなかなか難しいことです。一方、チームパフォーマンスについてはさまざまな学術的研究から測定する方法が明らかになっています。測定できる、つまり「見える」ので改善策を立てていくことが可能になります。

チームパフォーマンス向上につながる「8つの行動」

チームパフォーマンスが「チームが実現すべき成果に影響を与えるメンバーの主体的行動の総和」ということは、そのような主体的行動とは何かを明らかにし、それを測定すれば、チームパフォーマンスを数値化することができるということになります。

 

数多くの先行研究を踏まえさらなる独自研究を重ねた結果、チームの成果に影響を与える主体的行動を8項目に定義付けし、大きく2つに分類しました。

 

【図表】チームパフォーマンスにおける8つの主体的行動

 

まず分類を示すと自己向上行動とチーム向上行動になります。自己向上行動には4つの要素があります。顧客貢献行動と最善行動、プロセス改善行動、クリエイティブ行動です。チーム向上行動にも同じく4つの要素があります。チーム力活用行動、チーム運営向上行動、メンバー支援行動、発信行動です。

 

これらの行動をメンバーが高レベルで発揮できていれば、成果を上げられるチーム、つまりパフォーマンスに優れたチームということになります。

 

例えば顧客貢献行動が実行できているチームであればメンバー一人ひとりが顧客のために尽くし、そのために自分の仕事をより良くしようと常に前向きに改善し続けています。さらに発信行動がなされていれば、メンバー間で情報がしっかりと共有され、改善すべきことがあれば率直に言い合っている、そんな理想的なチームです。

 

これらを特定するために私たちはまずは細かなアンケート調査を実施しました。一つの行動についてそれぞれ3つずつ質問項目を用意し、その回答を見てスコアを計算しました。初期検討の段階では、実は20項目の主体的行動が存在していましたが、最終的に統計的な有意性を踏まえて、この8つの項目に絞り込みました。

 

これら8項目の行動をメンバーが高いレベルで発揮しているほど、チームとしての成果や目標達成を実現する可能性が高くなります。

次ページ4つの「自己向上行動」とは?

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    ※本連載は、橋本竜也氏の著書『TEAM PERFORMANCE チームパフォーマンスの科学』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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