米雇用統計(21年12月)…雇用者数(前月比)は市場予想を大幅に下回ったものの、全般的には労働需給の逼迫を示す結果

米雇用統計(21年12月)…雇用者数(前月比)は市場予想を大幅に下回ったものの、全般的には労働需給の逼迫を示す結果
(写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏が2021年12月の米雇用統計を分析し、雇用者数や失業率、事業所調査や家計調査についてみていきます。 ※本記事は、ニッセイ基礎研究所の米雇用統計に関するレポートを転載したものです。

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    事業所調査の詳細:娯楽・宿泊業の伸びが加速も、全般的に伸びは鈍化

    事業所調査のうち、民間サービス部門は前月比+15.7万人(前月:+19.8万人)と前月から伸びが鈍化した(図表2)。

     

    [図表2]非農業部門雇用者数の増減(業種別)
    [図表2]非農業部門雇用者数の増減(業種別)

     

    民間サービス部門の中では、娯楽・宿泊業が前月比+5.3万人(前月:+4.1万人)と前月から伸びが加速した一方、専門・ビジネスサービスが+4.3万人(前月:+7.2万人)、運輸・倉庫が+1.9万人(前月:+4.2万人)、医療・社会扶助サービスが+0.6万人(前月:+0.8万人)と、前月から伸びが鈍化した。さらに、小売業は▲0.2万人(前月:▲1.3万人)と2ヵ月連続マイナスとなった。

     

    財生産部門は前月比+5.4万人(前月:+7.2万人)と前月から伸びが鈍化した。製造業が+2.6万人(前月:+3.5万人)、建設業が+2.2万人(前月:+3.5万人)といずれも鈍化した。

     

    政府部門は前月比▲1.2万人(前月:▲2.1万人)とマイナス幅が縮小したものの、5ヵ月連続でマイナスとなった。内訳をみると、連邦政府が▲0.2万人(前月:+0.4万人)とマイナスに転じた一方、州・地方政府が▲1.0万人(前月:▲2.5万人)とマイナス幅が縮小した。

     

    前月(11月)と前々月(10月)の雇用増加数(改定値)は前月が+24.9万人(改定前:+21.0万人)と+3.9万人上方修正されたほか、前々月は+64.8万人(改定前:+54.6万人)と+10.2万人上方修正された。この結果、2ヵ月合計の修正幅は+14.1万人の上方修正となった(図表3)。

     

    BLSの公表に先立って1月5日に発表されたADP社の推計は、非農業部門(政府部門除く)の雇用増加数が前月比+80.7万人(前月改定値:+50.5万人、市場予想:+41.0万人)と+53.4万人から下方修正された前月、市場予想を大幅に上回った。この結果、ADP社の統計は、前月から鈍化し、雇用の伸びも20万人弱に留まった雇用統計と大幅に乖離する結果となった。

     

    12月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が31.31ドル(前月:31.12ドル)となり、前月から+19セント増加した。一方、週当たり労働時間は34.7時間(前月:34.7時間)と前月から横這いとなった。この結果、週当たり賃金は1,086.46ドル(前月:1,079.86ドル)と前月から増加した(図表4)。

     

    [図表3]前月分・前々月分の改定幅/[図表4]民間非農業部門の週当たり賃金伸び率(年率換算、寄与度)
    [図表3]前月分・前々月分の改定幅
    [図表4]民間非農業部門の週当たり賃金伸び率(年率換算、寄与度)

     

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    本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年1月11日に公開したレポートを転載したものです。

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