「こんなに送っているのになぜ足りない?」帰省して知った事実
「冗談だろ…これで足りないって、どういうことだよ」
そうつぶやいたのは、会社員の高野さん(仮名・55歳)です。
母は77歳。一人暮らしで、年金は月9万円。決して多い額ではないため、高野さんは数年前から毎月22万円の仕送りを続けてきました。
「生活に困らないように、というより、“安心して暮らしてほしい”という気持ちでした」
自身も住宅ローンや教育費を抱える中での支援でしたが、「親のためなら」と続けてきたといいます。ところが、ある日、母からこう言われます。
「最近、ちょっとお金が足りなくてね…もう少し助けてもらえないかしら」
耳を疑いました。
「え? 22万円も送っているのに? どう考えても足りるはずだと思いました」
違和感を覚えた高野さんは、事前に連絡せず実家を訪れることにしました。
玄関を開けた瞬間、違和感は一層強まりました。
室内は散らかり、冷蔵庫にはほとんど食材が入っていません。生活が苦しいようには見える一方で、「お金がどこに消えているのか」がまったく見えませんでした。
「何に使ってるの?」と尋ねると、母は言葉を濁しました。
「ちょっとした出費が重なってね…」
しかし、その説明に納得はできません。
さらに部屋を見渡したとき、気になる点がいくつも目に入りました。未開封の通販の段ボール、同じような日用品のストック、使い切れていない食品。
「これ、全部最近買ったの?」
問い詰めると、母は小さくうなずきました。
どうやら、ネット通販やテレビショッピングでの購入が習慣化していたのです。少額の買い物の積み重ねが、家計を圧迫していました。
「本人は“そんなに使っていない”っていう感覚なんですよね。でも、積み重なるととんでもない額になる」
さらに通帳を確認すると、定期的にまとまった引き出しも見つかりました。
「これ、何に使ったの?」
沈黙のあと、母はぽつりと漏らします。
「知り合いに頼まれて…少し貸したの」
