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結果の概要:雇用者数は前月、市場予想を下回った一方、失業率は市場予想を上回る改善
1月7日、米国労働省(BLS)は12月の雇用統計を発表した。非農業部門雇用者数は、前月対比で+19.9万人の増加※(前月改定値:+24.9万人)と、+21.0万人から上方修正された前月を下回ったほか、市場予想の+45.0万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)を大幅に下回った(後掲図表2参照)。
※ 季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
失業率は3.9%(前月:4.2%、市場予想:4.1%)と、こちらは前月から▲0.3%ポイント低下し、市場予想を上回る改善を示した(後掲図表6参照)。労働参加率※は61.9%(前月改定値:61.9%、市場予想:61.9%)と61.8%から上方修正された前月、市場予想に一致した(後掲図表5参照)。
※ 労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。
結果の評価:雇用増加ペースは鈍化も、失業率、賃金動向は労働需給の逼迫を示唆
事業所調査では、12月の非農業部門雇用者数の対前月比増加数が年初来で最低となったほか、年初来の月間平均増加数の+53.7万人を大幅に下回るなど、雇用増加ペースが鈍化したことを示した。もっとも、後述するように過去2ヵ月分が合計で+14.1万人の大幅な上方修正がされているため、12月の雇用鈍化は数値が示すほど悪い結果ではない。
一方、家計調査は、労働参加率が小数第一位まででは前月から横這いとなったものの、就業者数が前月比+65.1万人と堅調な伸びを伴って失業率が低下したことから、前月に続き労働需給の逼迫を示した。
時間当たり賃金(全雇用者ベース)は、前月比が+0.6%(前月改定値:+0.4%、市場予想:+0.4%)と、21年4月(+0.7%)以来の伸びとなり、+0.3%から小幅上方修正された前月、市場予想を上回った。
前年同月比は+4.7%(前月改訂値:+5.1%、市場予想:+4.2%)と、+4.8%から上方修正された前月を下回ったものの、市場予想を上回った(図表1)。前月比で賃金上昇ペースが大幅に加速したことは労働需給が逼迫していることを示す結果と言えよう。
このようにみると、12月は雇用増加ペースが前月から鈍化したものの、過去2ヵ月分が大幅に上方修正された影響を受けたとみられることや、失業率の低下や賃金上昇の加速などから、全般的には労働需給が引き続き逼迫していることを示す結果と言えよう。
もっとも、12月の結果はオミクロン株の感染が急拡大した12月中旬以降の雇用環境を反映していない。このため、来月発表される1月の雇用統計でどの程度オミクロン株の影響がでるか注目される。