米雇用統計(21年12月)…雇用者数(前月比)は市場予想を大幅に下回ったものの、全般的には労働需給の逼迫を示す結果

米雇用統計(21年12月)…雇用者数(前月比)は市場予想を大幅に下回ったものの、全般的には労働需給の逼迫を示す結果
(写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、ニッセイ基礎研究所の窪谷浩氏が2021年12月の米雇用統計を分析し、雇用者数や失業率、事業所調査や家計調査についてみていきます。 ※本記事は、ニッセイ基礎研究所の米雇用統計に関するレポートを転載したものです。

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    家計調査の詳細:労働力人口は増加も労働参加率は小数第一位まででは横這い

    家計調査のうち、12月の労働力人口は前月対比で+16.8万人(前月:+51.6万人)と前月から伸びが鈍化した。内訳を見ると、失業者数が▲48.3万人(前月:▲57.3万人)と前月からマイナス幅が縮小したものの、就業者数が+65.1万人(前月:+109.0万人)と伸びが鈍化して労働力人口を押し下げた。非労働力人口は▲6.0万人(前月:▲39.6万人)とマイナス幅は縮小したものの、2ヵ月連続のマイナスとなった。

     

    これらの結果、労働力人口は増加したものの、労働参加率は小数第一位まででは横這いとなった(図表5)。

     

    一方、プライムエイジと呼ばれる働き盛り(25~54歳)のみの労働参加率は12月が81.9%(前月:81.9%)と前月から横這いとなった。

     

    男女の内訳は、男性が88.0%(前月:88.2%)と前月から▲0.2%ポイント低下した一方、女性が75.9%(前月:75.7%)と+0.2%ポイント増加した。女性の改善は3ヵ月連続となっており、学校再開に伴い子育て世代の労働市場への再参入が増加した可能性が考えられる。

     

    12月の失業率は3.9%と21年6月の5.9%から6ヵ月連続の低下となり、新型コロナ流行前の20年2月(3.5%)以来の3%台となった(図表6)。

     

    [図表5]労働参加率の変化(要因分解)/[図表6]失業率の変化(要因分解)
    [図表5]労働参加率の変化(要因分解)
    [図表6]失業率の変化(要因分解)

     

    12月の長期失業者数(27週以上の失業者人数)は200.8万人(前月:219.3万人)と前月から▲18.5万人減少した。一方、長期失業者の失業者全体に占めるシェアは31.7%(前月:32.5%)とこちらも前月から▲0.8%ポイント低下した(図表7)。平均失業期間は28.6週(前月:29.1週)と前月から▲0.5週短期化した。

     

    最後に、周辺労働力人口(163.9万人)1や、経済的理由によるパートタイマー(392.9万人)も考慮した広義の失業率(U-6)※2は、12月が7.3%(前月:7.7%)と前月から▲0.4%ポイント低下した(図表8)。また、通常の失業率(U-3)との乖離幅は+3.4%ポイント(前月:+3.5%ポイント)と前月から▲0.1%ポイント低下した。

    ※1 周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。

    ※2 U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。

     

    [図表7]失業期間の分布と平均失業期間/[図表8]広義失業率の推移
    [図表7]失業期間の分布と平均失業期間
    [図表8]広義失業率の推移

     

     

    窪谷 浩

    ニッセイ基礎研究所

     

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    本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2022年1月11日に公開したレポートを転載したものです。

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