自己資金は、金額よりも「中身」が重要
自己資金については、額だけでなく中身も問われます。いや、むしろ中身こそがシビアにチェックされるといっていいでしょう。同じ額でも自分で貯めたのか、あるいは他人から借りたのか、入手ルートによっても、融資の審査では評価が異なります。うなるほどの多額の資金が口座にあったとしても、自己資金とさえ認められないこともあります。
つまり、自己資金には正しい自己資金とそうでない自己資金があるのです。
■銀行評価がいちばん高いのは「自分で貯めたお金」
最も評価の高い“正統派”は、自分でコツコツと貯めたお金です。
例えば、同じ100万円でも、会社員時代に給与から毎月、定期積立で預金100万円を貯めた人と、親から100万円をポンともらった人では、どちらが返済に関して信頼できそうでしょうか。
もしあなた自身が融資する側に立ったとしても、どちらか一人にだけ貸すなら、前者を選ぶのではないでしょうか。
金融機関は、自己資金をチェックする際に、通帳原本を必ず確認します。そこで見るのは貯まっている額だけではありません。お金の貯め方のプロセスをチェックしているのです。ここで毎月、コツコツ定額が積み上がっている状態であれば、毎月の返済もしっかり実践してくれることが期待できます。融資した資金も、ムダに散財することなく、計画性をもってビジネスの成長に活かしていくだろうと判断されるわけです。
もちろん、親からの援助も自己資金に含めることはできますが、評価は下がります。自己資金を見る際には、創業時に「いくらお金をもっているか」だけでなく、事業の将来性、本気度をも判断されるのです。
■次に銀行評価が高いのは「配偶者の通帳のお金」
自分で貯めた資金に次いで、評価が高いのが一緒に住んでいる家族、配偶者の預金です。
特に飲食店や美容室などの店舗ビジネスの場合、夫婦経営で成功している会社、事業所が多く見られます。フランチャイズなどでは、夫婦での経営が条件となるようなケースもあります。
生計を一にしている配偶者が、万が一の際に自身の預金を提供することが可能ということは、起業に協力的であると判断されます。
二人で協力し合って、コツコツとお金を貯めてきたケースならば、さらに評価が高まります。目的をもって計画的にお金を貯めてきた人の数が一人よりも二人のほうが、お金を貸す側としても返済される可能性が高まり、安心できるわけです。
家族経営ならば人件費がかからないのもメリットです。売上が上がりにくい創業初期も、コスト過多にならないことがプラスに評価されるのです。
この場合、配偶者の通帳を提出したほうが有利になります。親から贈与を受けた場合も同様に親の通帳のコピーを準備したほうが有利になります。